Q1審査を通して得た気づき
フィルム部門の審査はどの部門よりも面白い。一時流行ったデジタルであるという理由だけで20分以上あるようなフィルムも少なくなり、レベルの高い作品が多く、事前審査はとても楽しめた。
一方で現地審査でアワードを決めるとなった時、斬新な発見や切り口がなかなか見つからないという悩みもあった。それだけ成熟しているカテゴリーであるということだ。そんな中でも下で紹介する作品は、広告フィルムの使い方に新しい挑戦をしていると感じた。
全体を通して感じたのは、タイの映像偏差値の高さ。そんなに撮影にお金がかけずとも、演出と編集の力でとても見応えのあるものにしている。もちろんアイデアもぶっ飛んでいる。かつて日本のCMが持っていたような破天荒さが、高いレベルで生きていると感じた。残念ながら日本はそもそもエントリー作品自体が少なかった。ガンバレ日本!
Q2審査の中で印象に残った施策
➀LAST PERFORMANCE
サスペンス連続ドラマで必ず流れるCM。秀逸なのは、そのストーリーで殺された人がCMに登場して「まさか私が殺されると思わなかった」と語り出す。いつ何が起きるか分からないから、というメッセージの生命保険のCM。エンタメが放送からVOD化していく時代の、新しい広告手法の可能性を感じた。
②THE FIRST DIGITAL NATION
地球温暖化で国土を失いつつあるツバル共和国が、国全部をメタバースに移行する、という発表動画。面白いのは、メタバースに移行する様子をまとめたケースビデオより、フィルムの方が強いメッセージ性を感じること。フィルムの力を改めて感じさせた。
③THE EYES
クラシックな商品広告ですが、タイ演出の良さが詰まっている。単純に面白い!ということがどれだけ力があるか。これぞフィルム。ぜひ見てみてください。