Q1 審査を通して得た気づき
台湾とNYを経て、東京に住むグローバルなシチズンとして、ユニークな視点をSpikes Asiaで発揮できたことを嬉しく思っています。
今年のデザイン部門とインダストリークラフト部門は、AIやデータの活用が顕著で、テクノロジーが、デザインやビジュアルをまったく新しいレベルに引き上げていることに目を奪われました。テクノロジーが、クリエイティビティの境界を広げているのを目の当たりにし、amazingだと思いました。
パンデミックが2022年のアジアにも影響を与える中、メタバースを重要なコミュニケーションプラットフォームと捉えるブランドが増えたとも感じました。風景の再現やインフルエンサー活用など、若い世代に刺さる、より包括的なバーチャルワールドが実現されていました。
また今年の応募作品を見ていると、新しいものばかりではなく、伝統的な美学や技術にインスパイアされたデザインやアートディレクションが復活していることにも気づきました。伝統的なデザインに見られる、職人的な技の強調や、ディテールへのこだわりが、多くの作品に見受けられました。この傾向は、テクノロジーの進歩がデザインの主流となることが多い現代において、伝統的な技法の活用がいかに効果的か、また、デザインにおける文化的な洞察や文脈の理解がいかに重要かを浮き彫りにしていると思います。
Q2 審査の中で印象に残った施策
➀SUNTORY TENNENSUI ENDLESS DAWN
アイデアのシンプルさから最終的な仕上げまで、サイトのデザインにとても感銘を受けました。特に印象的なのは、デザインに”人間味あふれる旅路”を取り入れていることです。厳選された物語と音楽が作品に深みと美しさを付加し、感情的なインパクトをもたらしています。
②THE REJECTED ALES
創造性の力を示すだけでなく、不完全さを受け入れ、それを独自のセールスポイントにすることを上手に実践している作品だと感じました。ユーモラスなパッケージデザインがお客さまを魅了し、そのストーリー性が完璧を目指す醸造所の旅に個人的に参加している気分を創ってくれます。
③INCENSE OF MEMORIES
個人的にはとても気に入りました。”伝統“をユニークで革新的な方法で現代化できるのだということを示した作品だと思います。日本の伝統的な祈りの文化を、お香を使ってリデザインしたことは美しく、お香に新たな命を吹き込むだけでなく、日本の匠の技の素晴らしさが表現されています。