Q1審査を通して得た気づき
既に社会への影響力が際立っているソーシャルメディアが「PR」という領域の中で持つ意味が大きくなっていることを多くの事例から感じました。ターゲットメディアとして位置付けられるだけでなく、そこで発せられた一言に呼応して始まったキャンペーンもあり、ソーシャルメディアユーザーがもはや逃すことのできないオーディエンスになっていることを改めて印象付けられた今年のSpikes Asiaでした。昨今、時間や場所を問わず、より瞬発力の高いキャンペーンを生み出せるようになっていますが、そのような中でもどこでどれだけの発話があったかだけでなく、そこからどのように課題を解決できたか、成果を丁寧に議論した2日間でした。
PRを含む各種コミュニケーション領域の垣根が低くなってきている中で、PR思考からスタートしたケースを今後もたくさん見られることを期待しています。
Q2審査の中で印象に残った施策作品名とその印象について。
①Correct the Internet
ニュージーランドに拠点をもつ、女性のスポーツマーケティングとスポンサーシップを専門とするコンサルティング会社が国連のサポートをうけて実施したオンラインをベースにしたキャンペーンです。日に幾度となく触れるサーチエンジンですが、日々何気なく使っているこのサービスがバイアスの元になっている、という起点がシンプルで目の付け所が良かったです。奇をてらっていないように見えてしっかりとインパクトを出せた点においても学ぶべきところが多い事例でした。
②The Unavailable Drop
カザフスタンのチャリティー団体が洋服の寄付を募るために、ゴミとして捨てられた服を高級ブランド品と並べ、実際には手の届かないような高価格(Unavailable)で限定販売(Drop)したキャンペーン。手にする事へのハードルの高さを実感してもらう所がアイコンとして見せるだけとは違い、よりターゲットの行動欲求にアプローチできたのではないかと思います。一般の人からの寄付だけでなく企業の参入も促すことができ、目に見える成果を残せたことも素晴らしかったです。
③Buick Nail Clippers
満を持して発表した新ロゴに対するソーシャルメディアでのネガティブなバズにユーモアを持って真っ向から立ち向かった事例です。「そんなに爪切りだって言うから作ってやったぜ!」という啖呵が聞こえてきそうですが、ブランドにとって大切なロゴに対するネガティブな反応をスルーすることなく打ち返した勇気と、最初の勢いだけでなく、開始後の反応にも応えていったソーシャルメディアユーザーに対する丁寧な姿勢が素敵でした。