2020.7.20 share
カテゴリーについているメモに関しては、クリエイティブ・ディレクター石井うさぎさん、弊社内の有志の協力によって作成いたしました。ご視聴の際に参考になれば幸いです。
Day 3に関しては「Activism day」とテーマ付けされており、様々なアクションについて取り上げられています。

リンク先は外部サイトに移動します。

カテゴリーについているメモに関しては、クリエイティブ・ディレクター石井うさぎさん、弊社内の有志の協力によって作成いたしました。ご視聴の際に参考になれば幸いです。
Day 3に関しては「Activism day」とテーマ付けされており、様々なアクションについて取り上げられています。

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①Day 1

Vox Media Presents the Content Format That Could – Scaling Understanding Despite All Odds
Talent: Cleo Abram, Sean Rameswaram, Heather Pieske, Joss Fong
Category: Keynotes
時間:15分
リモートで情報を配信する際には、Who, What, Where, When より「What」と「How」が大切。そこに集中して「何を伝えるか」を決めて、その後「どう伝えるか」を決定したらすぐに配信へ。Truth, Clarity and Understanding (真実、明確さ、理解)が今は必須。
そこから共感がうまれるのがこの時代。

②Day 1

Cannes Lions & WARC Presents Cracking the Effectiveness Code
Talent: James Hurman, Peter Field
Category: Keynotes
時間:25分
マーケティングをよくする「効果」を考える
一口に「効果」といっても様々な意味がある。コストを下げることだったり、もっと荷が動くことだったり。Leo Burnett社やハイネケンも自分たちなりのスケール(計測するための幅)を持っている。
ダウンロード可能:https://lionslive.canneslions.com/creative-effectiveness-ladder

今回紹介されたのは、the Creative Effectiveness Ladder :
(1) Influential Idea (メディアなどを最大利用してアイデアをシェア)
(2) Behaviour Breakthrough (行動変容を促すブレークスルー)
(3) Sales Spike (売上アップ)
(4) Brand Builder (fundamental brand healthを考える)
(5) Commercial Triumph (継続的なセールスの成功)
(6) Enduring Icon (継続的に認知されるアイコニックなもの)

昨年のCreative Effectiveness 部門の受賞エントリーを分析してみたところ、効果とクリエイティビティの相関関係がみられた。

このセッションで出てくるPeter Field 氏「God of Efficiency (効率の神)」と呼ばれている。「クリエイティビティがなければ、ブランドの長期的成長はない」

Peter Field 氏:過去からのデータをみても短期的な収益を追い求めても長期的な成長はみこめない。クリエイティブにちゃんと投資しないと大きなリターンはない。
Q&A:この危機におけるクリエイティビティの役割と結果は?
>>まだ全体像は見えないが、ブランドのコアの価値をきっちり守りながら、キャンペーンを展開しているブランドほどいいキャンペーン結果が出ていることは、System1社の調査でも出てきている。
Q&A:キャンペーン期間の短期化についてどう思うか?残念ながらどんどん消費しては、過去のものにしてしまうことがものすごく増えた。もっとじっくりクリエイティブを大事にしていくべきだ。
>>ROI(投資収益率)だけでは未来は動かない。

③Day 1

We Are Pi Presents Before You Shoot
Talent: Alex Bennett-Grant
Category: Keynotes
時間:15分

2019年のSmall Agency of the year を受賞した広告会社
「Before you shoot」(Shoot = 「銃を撃つ前に」と「撮影をする前に」を重ねたダブルミーニング)を考えてみようと人種差別と広告におけるアンチ黒人メッセージがないかどうか見てほしい、と呼びかけている
インクルーシブな(様々な背景をもつ人々を内包する)社会のためにやるべきことはたくさんある。いまだに撮影後に有色人種の濃い肌をうすくリタッチするような指示が編集室で出ていたり、黒人が一切登場しない広告をつくるといったこともまだまだある。アンチ黒人広告なんてありえない。ある調査では、94%の人が人種差別のない広告を作るべきだ、と言っている。
その一方でキャスティングでも黒人を選ばない、ということが普通に行われている。
70%の人がそういった実情をみたことがあるとある調査で答えている。
差別は自分のせいではなく、別のステークホルダーのせいだからしょうがない、気にしない人がまだまだいる。僕らは人を動かすためのストーリーを描けるストーリーテラーであるべきなのに。

(1)もっと声を上げよう
(2)キャスティングの決定のプロセスに黒人をいれるべき
(3) 討議の場をつくるべき
僕は宣言する、これからのこの現状を変えていくことを。みんなにも同じように行動してほしい。人種問題を叫び、単に若手にプレッシャーがかかるような状況を作るのではなく、討議の場をちゃんと用意するべき。オープンで意見を交換できる「環境づくり」が必須。

④Day 1

Facebook Presents Never Lost – How Creativity Guides Us Through the Unpredictable
Talent: Antonio Lucio, Mark D’Arcy
Category: Keynotes
時間:20分

Facebook:CCOのMark D’ArcyとCMOのAntonio Lucioが登場。
「お互いが見つかれば、迷子になることはない」と締めくくるFacebookの危機対応CM

タイトルは「Never Lost – How Creativity Guides Us Through the Unpredictable」(予測のつかない時代でもクリエイティビティがリードしてくれる)
今ほど生活者に対して「サーブする」という姿勢が大事な時はない。実用的で共感を持っていることを知って欲しい。「レスポンス(反応、対応する)」がこの危機下では大事。表面的なことは全く意味がない。ブランド・エッセンス、つまり本質がしっかり伝わらないと。
危機にもかかわらず「messenger rooms」という新商品すら発表することができた。

パートナーの広告会社のおかげで広告コミュニケーションも継続することができた。リモートでの制作作業を余儀なくされたが、頑張ってくれて感謝している。そういった意味でFacebookのエコシステムができているし、その需要さはこれまで以上に必須だということが今回わかった。今年はカンヌにいけないのが残念だ。毎年ロゼワインを手にお互いに感謝をするがありがとう(Droga5やOgilvyなど、各広告会社のロゴを表示し、感謝を示した)

⑤Day 2

Highsnobiety Presents Better Living Through Advertising
Talent: Adeshola Makinde, Emmanuel Adjei, Jian DeLeon, Leila Fataar
Category: Keynotes
時間:20分

広告を通じてより良い生活を オンラインのニュースサイト
Leila Fataar :Shared Equityを考えないといけない時代。文化をとらえ、多くの人と互いにわかちあえる状態を考えよう。しかもアイデアを考えるという早いタイミングから皆にとってShareできるものかどうかを念頭に。

Adeshola Makinde:ファッションブランドを立ち上げた人。人種差別に対する強いメッセージをファッションに取り込んでいる、子供たちが着る服に銃に反対だ、というメッセージを印刷。過去の黒人解放運動や人種差別反対運動をしっかりみて、先人の歴史に今のヒップホップなどの新たな文化をファッションとして取りこみ、時代を感じるように「文脈化」している。でも、「警察による暴力を許すことができない」という過去にデザインされた古いメッセージをみても、まったくいまの時代になっても変わらない。
https://www.instagram.com/adesholamakinde/?hl=en

 Emmanuel Adjei:https://lionslive.canneslions.com/talent/emmanuel-adjei-s1-55573
映像作家、脚本家です。マドンナのDark Balletを担当。その時も今もそうだけれど、ヒューマニティーを映像として映し出したいと思った。そうしたら新たなカラー(色味と肌の色を重ねたダブルミーニング)が見えてくるはずだ。

⑥Day 2

WARC Presents Effectiveness in the Age of E-commerce
Talent: David Tiltman
Category: Keynotes
時間:25分
WARCによる「eコマースの時代における効果とは?」

購買行動が明らかに変わったので、危機下におけるeコマースはプラスかマイナスに振れる可能性がある。56%の子どもたちが新たな買い物をしている。またたくさんのお菓子が詰まったパッケージ商品が好まれることもあり、例えばお菓子メーカーのハーシーは薄利となっていて利益倍減のケースも出てきている。
ブランドのビジネスの「全体エクスペリエンス」を考えないといけない。生産→販売→パッケージング→流通(販売)などサプライチェーン全体で考える必要がbrある。
それできちんと儲けられるか。通常の認知も大事だけれど、新たな「需要」の把握が大事。
これまでアップルが opening the packageのワクワクに着目してきたが、この危機下ではトイレットペーパーでさえ「パッケージを開ける瞬間」が心を動かしたということもある。
今回の危機下で顧客が新たに増えたとして、今後どう長い関係性を結ぶことができるのか?そしてパフォーマンス・マーケティングということも考える必要がある。
eコマース企業のプラットフォーム化、自らが開発・構築する検索システムなども注目。

中国は西洋に比べてECが非常に進んでいる。ライブストリームでのショッピング番組の伸びがすごい。中国のライブストリームはとってもインタラクティブで、ある種のエンタメになっている。タレントが登場したり、取材が始まったり、ゲームをやったり、リテールテインメントが進んでいる。
https://jingdaily.com/perfect-diary-strategies-for-winning-the-chinese-beauty-market/

ただしパフォーマンスに注力しすぎることでブランドに危機が及ぶことも考えておくこと。ECの予算を増やすのはいいとして、結局広告予算が削られている。
アディダスもECに投資し始めたが、きちんと測定ができないと意味がないことに気づいた。メディア・チャネルことに測定できるかなども検討し、デジタルKPIだけでなくキャンペーンを包括的に見る必要がある。

(1) ブランドの全体エクスペリエンス:サプライチェーン全体を俯瞰すること
(2) パフォーマンス系メディアと販売を統合すること:ECとペイドメディアのスペンドに着目&西洋より進んでいる中国に注目
(3) 短期的視点だけではブランドは育たない

この危機で様々な企業がamazonといったプラットフォームをみつつ、同時にダイレクト to カスタマー (D2C)のプラットフォームを自社で立ち上げ/強化しようとした。
P&GがエコボックスをEC用に開発。余分な物を削ぎ落としたパッケージングでそのまま配送可能。さっきのAppleやトイレットペーパーのUnboxing(パッケージから商品を出すワクワク)の話をしたが、このエコボックスもUnboxingモーメントを考えている。
エコということを「実感・納得」するというモーメントを提供する。

「モード」もある。ブランドに特化するべきタイミング=モードとパフォーマンスに特化するべきタイミング。でもブランド構築を考えたら、それよりもう一つ上のレイヤーで長期的に考えるべき。Expediaはこの危機下では旅行ができないために広告を控えていたが、自社ウェブサイトにオーガニックな検索でアクセスしてくる生活者の数を見て、通常時のブランディングの重要性を感じたと言っている。

⑦Day 2

“Dear White People and Men”
Talent: Phumzile Mlambo-Ngcuka, Stephan Loerke
Category: Keynotes
時間:15分

国際連合事務次長Phumzile Mlambo-Ngcukaさんが登場。彼女は南アフリカに住んでいてパートナーが逮捕されたり、人種差別を受けながら、戦ってきた方。
去年のカンヌで、社会に対して大きな貢献をした人に贈られるLionHeart賞を受賞。
社会課題は自分たちで解決しない限り、決して消えることはない。暴力だって、人種差別だってパンデミックだ。「behavior change in a large scale=大きなスケールでの態度変容」は広告コミュニケーションが得意とするところ。男性のみなさん(女性差別に対して)、白人のみなさん(人種差別に対して)、自らの特権を共同体、みんなのために行使してください。課題の「可視化」が必須。女性や黒人、あるいは若者の何人、何パーセントがどうなっているのか。状況把握を具体的な数でするべき。それで「声」は大きく、強く、性格になっていく。政治家はその数字的把握に動かされるだろう。

⑧Day 2

R/GA Presents Brand in the Boardroom: How to Innovate with Purpose
Talent: Dr. Rebecca Altman, Dr. Gregory Altman, Mike Rigby
Category: Keynotes
時間:20分
社会への志を通じてどうイノベーションするか?
今日のセッションでは、イノベーションにおけるデザインの役割とはなにか、マイクロプラスティックといった環境問題について考えたい。
ユニオンカーバイオ社というプラスチックをつくった生産企業で父が働いていたという社会学者、Dr. Rebecca Altman。プラスチックという物と思っているものは化合物の塊。
働く人にとってもコミュニティにとっても生活者にとっても「ケミカル」なもの。歯ブラシなどの生活用品に使われるプラスチック。母乳を経由して赤ちゃんの体内に入り込んだりするケミカル。プラスチックはプラスチック以上のものを作り上げている。父と古い工場を見学に2人で行った。プラスチックが残したものは廃棄物。海にプラスチックが流れ、同窓会のように集まり毒性を持つようになる。

Dr. Gregory Altman:パフォーマンスとサステナビリティは同じぐらいの重要性で共存しないといけない。天然のまゆからシルク・ファイバーを生産している。Activated Silkとも呼ばれる新天然素材で、石油化学から作られた素材をリプレースしていきたいと活動している。

Mike Rigby:グリーンな化学企業を立ち上げたい。今、この問題は「知識の欠乏」という問題も内包している。単なるPurposeではなく、Active Purpose(行動に繋がる志、実際に実用に転ずる志)を捉えていこう。企業名、アイコン、ロゴも変えた。Silk Inc. からEvolved by Nature*と企業名を変えたが、デザイン要素も新たに見直した。

企業のActive Purposeが世界をいい方向へと動かせないなら、意味がない。
そしてConnected Brandsとなっていくべき。
工業的なリニアな経済から Circular economy (サーキュラー・エコノミー:再生し続ける経済環境を指す概念)に変わっていかないといけない。
戦略では「測定」も重要な要素として取り込んだ。サードパーティに広げていく必要がある。一社ではできない。Activated Silkをどれぐらい多くの協働パートナーに展開できたのか(バレルで測定)し、環境に対する影響を測るようにした。
次にやりたいことはファッション。今はたったの1%しかリサイクルされていないんだ。今はループ状の糸の開発をしていて、もっともっとリサイクルしやすいようにしたいと考えている。

⑨Day 2

INTER: SECT & ICON MANN Presents Your Instagram Posts Won’t Save Lives. DO SOMETHING DAMMIT!
Talent: Benjamin Crump, Malcolm Jenkins, Jabari Paul, Talia Boone, David Kyuman Kim
Category: Keynotes
時間:25分

「Your Instagram Posts Won’t Save Lives. DO SOMETHING DAMMIT!!(インスタのポストだけじゃ人の命は救えない。具体的に行動しよう!!)」
ミネリアルやGenZがリードしているデモ。彼らはGen “We” (Generation We)と呼ばれる。彼らがあなたの担当企業、ブランドの顧客でもある。アイスクリームのBen & JerriesブランドのJubari Paul登場。企業ステートメントだけでは足りない。社員の行動、NGOといった協働パートナー、アクションなど全ての関係において活動が必要。
アメフト選手(今は活動家)Malcolm Jenkin:僕はスポーツマンとして生まれたのではなく、黒人として生まれた。逆ではない。人種差別をなくさないと。(ナイキのキャンペーンでもフィーチャーされた)コリン・キャパニックの行動は大きな意義を社会に示した。
長い戦いになる。まず最初は「知る」こと。企業も考えるべき。社員の人種の多様性のパーセンテージをもっと細やかに把握するべき。Power with Love(愛をともなったパワー)こそが真実そのもの

⑩Day 3 (Activism Day)

Project Everyone Presents activism actually, with Richard Curtis and friends
Talent: Richard Curtis, Emtithal (Emi) Mahmoud, Vanessa Nakate, Trisha Shetty, Amika George, Matthew Freud, June Sarpong, Nico Rosberg, Colin Butfield, Brooklyn Youth Chorus
Category: Keynotes
時間:30分

今回の危機下、人種差別が起きているが、アクティビズムはあらゆる場所に息づいて、「集合体の声」として世界を動かしている。今の危機や人種差別だけでなく、環境も注目し続けるべき。危機後に訪れるだろうグリーン・リカバリー領域における「Green intiative」の話が出てきている。
Brooklyn Youth Chorusが紹介されています。「声を上げていこう、世界に聞こえるように」と歌っています。

Trisha Shetty:様々な活動家が登場。インドでロックダウン中に、これまで自分たちの自由を守ってくれると思っていたオーソリティ側が、逆に、市民の動きや気持ちを抑えこむ側に変わってしまったと感じた
これまでは正義のために声を上げ、戦うことが大事だった。今はアクティビズム(活動)にまでなっている。

Emtithal (Emi) Mahmoud:この危機と人種差別に触れながら、自らヒューマニティーについて書いた詩を朗読。「死を感じる瞬間がどこにでもある。生きる意志をわすれてはいけない」

Trisha Shetty:多くの国では今アクティビズトは抑制され、逮捕されている。アクティビズムは瞬間的に盛り上がる、といった類の話ではない。継続こそが活動だ。
変化を生み出すことができるのは3つの主体:政府、人々、そして企業だ。今、世の中は変化を求めている。政府の動きは遅い。でも企業の動きは素早い。生活者はブランドや企業に多くの期待を寄せている。
まさにコリン・キャパニック選手を起用したNikeのDream Crazyキャンペーンがアクティビズムの素晴らしい事例だ。

企業やブランド、そして広告会社が素早く世界を変えるきっかけを生み出すことができる。
アメリカではデモを実施することができる。でもインドなど、国によってはデモすら起こすことができない。一方で、コリン・キャパニック選手は国歌を歌わない、というアクションを取った後、アメフト選手としてのキャリアを続けることができなかった。まだまだやるべきことがある。

⑪Day 3 (Activism Day)

P&G Presents Stepping Up – Creativity as a Force for Good
Talent: Marc Pritchard
Category: Keynotes
時間:30分

P&GのCMO、Marc Prichard氏が登場。P&GはForce for Goodとして立ち上がる。
企業は社会のためのGood(善)を実現できると20年前から言われていた。この危機下でミッションがまたクリアになった。3つ大事なことが見えた。

(1)社員を守り切ること
(2)生活者の役に立つこと
(3)そしてコミュニティをサポートすること。
マスクをきちんと着用するための髭剃りの仕方や医療従事者のための無料洗濯サービスなども提供した。ソーシャルディスタンスを知らせるコンテンツなども配信した。
SNSでソーシャルディスタンク人種のためにもス・ダンスもユーチューバーと組んでアップ。
さらに女性に対する差別など、支援を必要としている人のための活動もしている。
例えばアメリカに住むヒスパニック人種のためにも

自分の父もメキシコ人。まだまだヒスパニックのためのケアが足りていない
アメリカに住む黒人のためのCircumstances(都合)という動画。今回の危機で白人に比べ黒人は非常にタフな状況にある。

今回の人種差別に対するデモなどをみて、具体的なアクションを進めていく必要性を強く感じた。

(1)差別の歴史を知ること、学ぶこと (2)社会システム上の差別があることを知ること
(3)白人には無意識のアドバンテージがあること
(4)黒人がずっとそのDNAゆえに苦しんでいること

The Talk というキャンペーン

黒人の親が子どもに堂々と人種差別を認めながらも、その中で強く生きるよう伝える動画。
プリチャードという僕の名前は白人系の名前だ。生物学上の父の名前である「ゴンザレス」という名前のままだったら、今の位置でこの仕事をしていたかどうかわからない。無意識の肌の差別があると伝える動画。

The Look というキャンペーン

知ること、理解し、アクションに移し、都度つどアップデートしチューニングしていく。P&Gでもこう言ったアクションを促す情報をまとめている。
https://us.pg.com/take-on-race/
Choiceという動画は、黒人のGeorge Floydの命が奪われた人種差別があって生まれた。

例えば、P&Gは社員の人種構成の分析を行っている。投資先も差別がないことを確認している。広告が描く人種がバイアスのないようにする。メディアのチャネルやスポンサーする番組も差別が描かれていないかチェックしていく。バイアスを無くし、平等な世界を実現するために。
感染で社会のスピードが止まり、一度足を止めた。そしてGeorge Floydの死で、世界は今起きていることから目を背けてはいけないことを実感した。

Love Is All They See

The Pause

⑫Day 4

Saatchi & Saatchi Presents New Directors’ Showcase
Category: Keynotes
時間:30分
カンヌでも毎年人気の高い広告会社Saatchi & Saatchiによる新人ディレクターによるショーケース。30周年を記念して、過去のハイライトが紹介されています。

⑬Day 4

Vice Presents VICE TV Presents No Mercy, No Malice with Professor Scott Galloway
Talent: Scott Galloway
Category: Keynotes
時間:35分

NYU大学でマーケティングを教えているScott Galloway教授。

この感染にムカついている。ひどい。人命がこんなに失われ、経済がひどいダメージを受けている。1週間でアルコールの購買が50%のびた!その5%はきっと俺だ!
負け組、勝ち組が明解に分かれている。
Facebookのマークザッカーバーグはトランプに近づきすぎ。株のことしか考えていない。アマゾンの価値があがっていっている。スーパーマーケットWalmartもすごい。
これまで流通の動きをみてみると、数ヶ月で18年(ぐらい)の伸びに追いついたと言える。

Amazonが人を雇っている時に他社はクビにしている。来年のカンヌのビーチはGoogleなど、テック企業のテントだらけのはずだ。
伸びている業界は、ヘルスケア。教育。
AmazonもCareというサービスでリモートでヘルスケア関連のサービスをしている。
Appleもリテールにどんどん参入してくる。Appleは売り上げ重視だったが、収益重視に切り替えている。売り上げはそこまで伸びていないが、収益は増えている。
さて、教育。キャンパスに学生が入れない。劇的に大学のあり方が変化する。
つまり、オンライン・ラーニングだ。でもこれはサステナブルではない。
大学もどんどん潰れていくと思われる。「ブランド大学」が残る。これらはもう大学ではなくて、「ファンド」だからさ。
巨大テック企業は別だが、メディア会社の10〜20%が死亡していくだろう。

さっき言ったけれど10年かかったことが今は数ヶ月レベル。スピードがすごいんだ。
家から働ける人はラッキーだ。他はどんどんクビだよ。ラッキーな一部の人ならジェットエンジンをオンにして、みんなが動けない中で劇的に前進するんだ。自問自答しよう。家族の介護をするべきか?兄弟たちとはどういう関係性を作り上げて行きたいか?友人たちとは?こういった深い質問をするべきタイミングだ。

Q&Aセッション:
欧州は中央銀行が、アメリカは共和党や民主党が経済を整えていくはずだが、5年から10年は世界の経済の伸びは鈍化するだろう。
旅行業界について:金持ちを相手にしているなら問題ない。でもこういった極端な状況に弱い航空業界などは大変だろう。なんせいつだって救済、救済と助けられてきて闘う準備ができていない。旅行、スポーツ、レストラン、教育といった競合企業が似たもの同士だと難しい。抜け出す新業態はあるかもしれないが、基本的に難しい。
一部の企業はFacebookから広告を引いているが、P&Gなどの企業はFacebookから引いていない。引いた後にいい条件で他の企業に捉えると困るからだろう。
(※この際にユニリーバの名前も出ているが、6/29に引き上げている)
Netflixはどうか、って?基本的には広告モデルから、きちんと稼げるサブスクリプション系ビジネスモデルにシフトしていく必要がある。
Amazonはこのパンデミックで伸びている。ワクチン提供のためのサプライチェーンも構築しているし、AWSというクラウドサービスも伸びている。感
染の分析も始めて、ヘルスケア領域に入り込んでいる。2023年までのもっとも成長する企業になるだろう。
Amazonが政府からのプレッシャーで解体されるとしたら、AWSなどを切り出す必要があるかもしれない。本体を切り出すことはないだろう。アメリカの司法省と同じぐらいの力があるのだから。

⑭ Day 4

Alma & We Are All Human Presents Estamos Unidos: Communities Emerging Stronger and More Unified through Creativity
Talent: Luis Miguel Messianu, Claudia Romo Edelman, John Leguizamo, Ivanette Bonilla, Jeronimo Escudero, Pepe Aguilar, Lisette Arsuaga
Category: Keynotes
時間:25分

ヒスパニックに特化したコミュニケーションを展開している団体のセミナー。今回の危機で、ヒスパニック・コミュニティが一つになるチャンスが生まれた。ヒスパニック系の多くは職業柄、感染の危機にさらされている。ピスパニックはアメリカで最も大きなエスニックグループだ。選挙での影響力もある。世界大戦でも多くが戦った。一番大きなマイノリティだ。大きい、がマイノリティだ。ヒスパニックは白人の非ヒスパニックに比べて失業率は倍、死亡率は3倍。アメリカの食を根幹で支えているのにこの差は一体なんだろう。
ヒスパニックに対する差別にも目を向けてほしい。
ヒスパニックが一つにまとまるよう、Hispanic Starと名付けた星のアイコンを軸にキャンペーンを実施した。アメリカがまたすぐに早く動き出せるように。
https://hispanicstar.org/

「We are(私たちは)」という言葉、Estamosを使ったP&Gの動画広告。
これは、ヒスパニック・コミュニティをサポートするために制作された。

P&GもHispanic Starの動きに参画し、Force for good(社会に善いことを生み出していく主体)として動いていく。それは相手を思う気持ちの現れだけでなく、ビジネス上での重要な義務だと思っている。(P&G)
このEstamos(私たちは)はすべてヒスパニック系のスタッフより制作された。これまで当たり前のようにあり、今まで疑いもしなかったルールを変えていこう。そうしたら世界はもっといいところになるはずだ。レインボーがLGBT+コミュニティのシンボルであるように、この星のアイコンは私たちヒスパニックのシンボルだ。ヒスパニックは3つの困難とたちむかわなければいけない。感染、人種差別、そして不況からくる貧困だ。一つになって助けあわないといけない。

⑮Day 4

Cannes Lions Presents the LIONS Live Debate: How Will These Crises Affect our Industry?
Talent: Philip Thomas, Jean Lin, Mark Read, Lorraine Twohill, David Droga, Steve Stoute
Category: Keynotes
時間:1時間
「今回の危機や人種差別がどう業界に影響を及ぼすのか?」をテーマに、カンヌライオンズ会長フィリップ・トーマスと共に有名クリエーターたちのディスカッションセッション。

医療従事者をフィーチャーした映像などを似ていると様々な映像をつなげてパロディ化された。でもそもそもこの危機の前の広告をつなげても同じものが多くてパロディ化されることは変わらない。(Mark Reed/David Droga)

Dove | Courage is Beautiful

クリエイティビティは今クルマに例えれば運転席にいる。実際に駆動力のコントロールをしている。中国ではアプリを使って様々な危機対策が生まれている。あるいは無人店舗のアプリ経由で飲み物を頼めるシステムが日本で展開されている。(Jean Lin)

これまで何ヶ月もかかったようなことを数週間で実現している。そして新たなスピード重視の働き方も生まれた。このまま新たな習慣になっていくかもしれない。(Lorraine Twohill)

働き方自体が変わる。これまでのノーマルな働き方ってなんだっけ?と思うようになるかもしれない。今はZoomで広告会社3社と会議をやっているが、社名も表示されないし、ものすごくフラットな会議ができている。ある意味新たなコラボレーションの形だ。(Mark Reed)
確かにヒエラルキーが消えた部分もある。在宅勤務でも自分の価値を伝えたいという思いやしっかり勤務しないといけないという思いから、みんな勤勉だ。(Steve Stoute)

少し心配なこととして、クリエイティブはぶつかりあう文化で育つものだ。その場がない、つまりオフィスにいけないのは残念だ。それはZoomでは難しい。もちろんビジネスの継続、クリエイティブ業務継続には役立つ。でもメンターシップという意味では残念。でも僕らは課題解決のプロだ。(David Droga)

Googleのオフィスはコラボレーションがスムースに進むような構造になっているが、家でも新しい働き方にアイデアをみんな絞っている。今後は「バランス」。通勤を今後5日する必要が無くなったら、新たな可能性が生まれる。(Lorraine Twohill)

広告会社はブランドのPurpose(志)による コミュニケーション作りをしっかりサポートする必要がある。透明性が求められる世の中だし、今はCo-Solutioning(コラボレーションしながらソリューション開発をすること)が必要。 (Jean Lin)

生活者にとって、Purposeは全てである。Purpose系のキャンペーンはこれ、あれは別、ということではなく、全ての根幹にPurposeがあるべき。 (Mark Reed)

Googleでは今に始まったことではなく、ずっと昔からPurposeは大事にしてきた。ミッションがあってこそ。(Lorraine Twohill)

ブランドがPurposeを探すというのも変な話で、そもそもPurposeがあって、ブランドや企業が存在するべきだ。そういったブランドが今、成功しているし、生活者もしっかり見ている。流行しているから、Purposeだというブランドは透けてみえる。
このパンデミックで一ついいことがあったとすれば、生活者がきちんとブランドが自分のために動いてくれているのかが重要だと言っていることだ。(David Droga)

人種問題について思うことは、どの広告主も広告会社も企業戦略の一部に人種に関しての考え方を組み込む必要がある。(Steve Stoute)

一番嫌なのはステレオタイプ扱いされること。ピュアに向き合ってほしい。(Jean Lin)

WPPという広告ネットワーク会社でも、人種については人事部門がどうかしてね、という話ではない。今度のインターンはリモートで世界中から参加してもらえるから多様性も40%上がった。(Mark Reed)

インクリュージョン(内包的アプローチ)を徹底しているし、その営業が業務上にどう出るかも見ている。またこれまでの広告を見直した。これまで非白人は広告の10%ほどだったが、今は23%まできている。でも肌の色が薄いなどもあった。ミスもしてきたが学んでいる。 (Lorraine Twohill)

それと様々な背景を持った人に入社してもらえても、その後仕事を楽しんでもらうことも大事。辞めてしまう人はいるからどういった文化を作るべきかが大事。 (David Droga)

Chief Diversity Officerというポジションが流行ったが、おかしい。逆に黒人だからそのポジションが用意されているなんて。本来は差別がないようにするにはどうするか、という話なのに。(Steve Stoute)
この業界は非常に大きなバイアスがかかっている。政府からの補助金が出るから、黒人を増やそう、なんて。僕らの仕事はパーセプション作りだ。業界内から変わらないといけない。(Steve Stoute)

― このネガティブな環境下でもポジティブなことが見つかったか?

「信念」があれば変われること (Jean Lin)
ヒューマニティー。医療従事者のために拍手をしたり。(Lorraine Twohill)
人種問題について業界の若手が集まって活動を始めていること。
https://600andrising.com (Steve Stoute)

― このネガティブな環境下でもポジティブなことが見つかったか?

何が自分にとって大事なのかクリエイティブとして、あるいは個人的に、組織的に様々に考えるようになれたこと。3ヶ月子どもたちと食事と一緒にできたこと。 (David Droga)
教師になる人が増えていることを知った。それぞれが自分の人生を見つめ直している。なかなか元には戻らないだろうけれど、だからこそ大事だ。 (Mark Reed)

― この業界に入ろうとしている若手に対するメッセージ
この業界に入れば世界をよくすることができる(Jean Lin)

人生にとって意義のあることをやるべき。(Lorraine)

ポジティブさを生み出すような影響力はここから始まる。アイデア一つで、世界の全てに影響を及ぼすことができる。リニアな人は世界を丸くしていくが、クリエイティブの人間はその中をどんな世界にするかを考えられる。(David Droga)

⑯ Day 5

Lions Intelligence Presents a Guide to Creative Survival
Talent: Susie Walker
Category: Keynotes
時間:20分

過去の不況においてもクリエイティビティが息づいてきたことを伝えるセッション。
過去の不況と比較して、今回の不況の違いは「疾病」が原因であったこと。もっとエモーショナルな要素が関係した不況。
不況時に起業した有名ブランドも多い。そこから長期的視点があれば成長できる。Peter Field氏が指摘したように。
長期的ブランドビルディングは必須だ。7割のブランドが短期的に考えすぎており、パフォーマンスばかりを見すぎていたと答えている。
1920年代にシリアルの売り上げが下がっても、その中でケロッグは伸びた。
2008年の不況時6割のブランドが広告活動をしなかった。そのうち3割弱はブランドイメージが下がった。
顧客満足を徹底すること。タッチポイントは様々だ。単に広告だけでなく、マップや店舗なども含まれる。サイバー、チタニウム、ダイレクト部門の受賞作品の結果を見てみると「ユーモアと楽しさ」「ブランド視点のメッセージ」「コミュニティ・スピリット」要素がもっと多く取り込まれた。ユーモアとファンは不況の時にこそ大切。

・ゴミを捨てるだけでも楽しい方がいい。Volkswagenのキャンペーン。

・ROM のキャンペーン
ルーマニアの国名や国旗をデザインしたお菓子をアメリカ化。やっぱり昔からの方がいいと、こちらも楽しさを使ったキャンペーン。

・2008年の不況後に目立ったキャンペーン。百貨店のJohn Lewisのクリスマスキャンペーン。「ずっとずっと待っている(クリスマスカウントダウン)」
でも子どもが待っていたのは、サンタから自分に贈られるプレゼントではなく、自分が親に用意したプレゼントを「贈る」こと。

・2008 ブランドの「パーパス」がマーケティングの際、大切になってくる
P&Gのマーケターの言葉P&GのCMOのマークプリチャード氏も「不況だからこそ、ブランドのPurposeをしっかり伝えることが必要だ」と言ったように、多くのクリエイティブ表現がPurposeに根ざしたものに。

2020年はどうなるか?
(1) eコマース 3.0
(2)Shape-shift platforms(新たな形のプラットフォーム)
例:”Keeping Fortnite Fresh” – Wendy’s – VMLY&R Kansas City

(3)バーチャルライフがリアルライフに。これまでAR、VRが少しずつ盛り上がってきたが、今は在宅で美術館めぐりをしたりと、バーチャルでの新経験が誕生。

⑰ Day 5

YouTube Presents The Vanilla Ice Cream Problem
Talent: Ben Jones, Jon Halvorson, Valerie Madon
Category: Keynotes
時間:25分

(バニラアイス問題)
重要な絞り込み:パンデミックで混乱し、同じような対策広告を作り始めた。似たような音楽、似たようなメッセージ、全てが似たような広告になってしまった。
わかったこと:効果的な広告の9割はパンデミックのことに触れていなかった。データが伝えている。
次のステップ:マスメディアでは動かなかった(Mondelez社)生活者が何を必要としているのかを考える。タイトルの「バニラアイス問題」というのは「同じ味」の比喩ですね。
広告というもの:これまで広告を測定するツールがしっかりしていなかったからみんな思い思いのことを言ってきた。そこで4万以上の広告を分析。
課題とチャンス:世界中で違うニーズがある。きちんとそれを見つめないと失敗する。きちんと大きな視点で把握しないといけない。そしてエモーショナルな面もきちんと捉える必要がある。(SingaporeのCD, Valerie Madon)
ロジカルなアイデアなら広告主が考えられる。(SingaporeのCD, Valerie Madon)コミュニケーションには共感が必要だ。(Mondelez社)
マシーン学習のためにバニラアイス=同じ味のものを学ばせても差が出ない。いろいろな味のアイスを学ばせるべきだ。尺やフォーマットなどが様々な広告を。
生活者に追いつく:ビューティー系の広告を分析した。もっと多様性のある広告がないと差が生まれない。
この先へ:データがある。同じ広告を多くの人に見せるのではなく、異なる広告を見てもらう方が大きな効果が出る。
新たなツール:クリエイティビティとデータを一緒に考えるべきだ。
シンプル化が必須:コスト面に非常に厳しい見方が多く、あれこれ、様々なことが言われる。でも効果が出ているならコストだけを見ても仕方がない。
加速化:ビジネスの課題は多いが、様々なデジタルのツールがある。

Q&A: 最適な動画アドは何秒か?視聴者が興味をもって見ていられる、見たいと思う尺。
でもミニマムの場合の数字も出ている。
6秒だ。ブランドならではの声を変えないように。ドリトスならドリトスになるべきだ。ギネスがパンデミックの進行に合わせて、どんどん広告のメッセージを変えていった。

ソーシャルディスタンシング対応をしたり、対応力が必須だ。

Q&A: YouTubeのアルゴリズムがどうなっているか?シグナルを分析し、それぞれが興味をもつであろう広告を見てもえらるように努力している。

クリエイティブなインスピレーションを受けるには、自分たちのチームや組織の外の人を呼んで話してみるとか、PCを閉じて家族と過ごすとか、僕はそういったことをしている。

⑱ Day 5

The CMO Growth Council Debate
talent: Marc Pritchard (Chief Brand Officer, P&G), Mathilde Delhoume (Global Brand Officer, LVMH), Julia Goldin (Global CMO, Lego), Raja Rajamannar (Chief Marketing & Communications Officer & President Healthcare Business, Mastercard)
Category: Keynotes 
時間:35分

Marc Pritchard from P&G イントロダクション:
• CMO Growth Councilでは、マーケティング業界を代表するCMOが集まり、企業とそのブランド、そして社会のために持続的な成長と価値創造を促進させるにはCMOが取り組むべき重要な分野はなにかを明らかにしていきたい。• 数年前からCMOが集まり、成長を促進させるために必要な4つの主要分野を定義し、18年19年そして20年初頭は順調に成長を実現することができていたが、コロナにより一転、今まで経験したことのない状況に陥った。• パンデミックによる景気後退によりすべての成長の果実が失われつつある。また、アメリカで発生したGeorge Floydの殺害により、社会におけるレイシズムと不平等が顕在化し、コロナに加えて世界を震撼させている。そして、我々は気候変動による地球環境の変化のまっただ中にもいることも忘れてはならない。• 真実を直視し、希望を与え、実際に行動を起こすことがマーケティング界を引っ張っていく我々に課せられた使命である。より良い社会、より良い成長をもたらす原動力を今一度構築する必要がある今、マーケティングおよびクリエイティブの役割の重要性はこれまでになく高まっている。

今後数年において注力すべき4つのコア分野
(1)より公平で持続可能な社会を醸成
(2)創造と革新でより人間に寄り添うブランドイメージを構築
(3)真に有望なデータと技術の活用
(4)全ての人が持つ可能性を引き出し、多様性を生かす社会を実現

Marc Pritchard from P&G: 社会と持続可能性について
• 平等、公平、多様性を喫緊の課題として促進させていく必要がある。• 広告やそのコンテンツ、また広告を掲載するメディアを通じて、我々は世界中の人々に幾度となく触れ合っており、それを通じて、多様性やインクルージョンのある社会に変えていくことができるはず。• 平等、公平、多様性を実現するために我々が大変重要と考える、もっと言えば、使命であると考える4つの事柄は下記の通り。(1) レイシズム、偏向、ステレオタイプをすべての広告、すべてのコンテンツ、そして広告を掲載するすべてのメディアから根絶する。人種、性別、民族性、性的指向と性同一性、宗教、能力、社会経済的地位、および年齢などすべての多様性において、正確でかつ敬意のある描写を行う。(2) 憎悪感があり、侮辱的で差別的なコンテンツを排除する。すべての放送局、パブリッシャー、デジタルプラットフォームにおいて、憎悪をかきたてるような、中傷的、差別的なコンテンツの近くに広告を掲載することは絶対にしない。(3) すべての業務でこれを確実に行うには、ブランドや企業だけでなく、代理店、サプライヤー、プロダクションスタッフ、メディアやマーケティング会社といったクリエイティブサプライチェーン全体のなかで、対等な協力関係を築き、経済投資を行っていく必要がある。(4) ブランドを通して、我々の声とクリエ―ティビィティを活用し、気候変動を止め、持続可能な行動とイノベーションを加速していく必要がある。

Mathilde Delhoume from LVMH– ブランド体験、創造性、メディアについて
• ブランド体験、創造性、メディアに焦点を当てた13人のCMOのタスクフォースに参加。タスクフォースでは自らに1つのモットーと3つの優先事項が与えられる。• モットー:マーケティングを再構成し、マーケティングの機能をB2BまたはB2Cという概念からB4H =人々のためのブランドにシフトさせる。• 優先事項1:CMOの役割を再定義。 CMOの役割は、私たちが奉仕する顧客(人間)を正しく理解し、広告だけでなく行動を通じて人々の生活にブランド価値を提供すること。そのためには創造性とイノベーションが不可欠。• 優先事項2:マーケティングにおける職人技の復権。(1) 本物の人間関係を育む―深い洞察力とビッグデータと組み合わせる。(2)ブランドがもつブランド資産価値を再定義(ブランドの目的と価値)。• 優先事項3:短期的なビジネスの成長と長期的なブランド構築のバランスをとりつつ、ブランド価値の普遍的な指標を確立する。

Raja Rajamannar from Mastercard– データとテクノロジー

業界の中で、データとテクノロジーが将来の成長に向けたマーケティングの真の大きな推進力になることに異議を唱える人はいないだろう。ただし、目下、データとテクノロジーの活用のされ方を見ると、個々のマーケティング担当者およびマーケティング業界全体にとって、まだまだ改善すべき余地があることは明らか。
• 重点的に取り組むべき3つの領域または使命:
(1) データとテクノロジーに関する基準の浸透
マーケティング担当者がシナリオ全体を理解できるようにするために、エコシステム全体を単純化する必要がある。 我々全員が同じことについて話ができるように、完全に普遍的な基準を持つ必要がある。
(2) データとテクノロジーによって促進されるビジネスと文化における変革を主導
この種の変革は困難が予想されるため、マーケティングコミュニティ全体にロードマップを提供し、業界全体で最善の措置を講じる。
(3) データとテクノロジーに密接に関連するプライバシーのロードマップを作成
将来、クッキーが使えない世界でどのようにナビゲートするか。
消費者はプライバシーについて非常に敏感に反応するため、データへのアクセスとその透明性はこれからも重要なポイントであり続ける。消費者のプライバシーを完全に保護しながら、適切なデータにアクセスできれば、より効率的かつ効果的にサービスを提供することができるため、マーケティング業界として、消費者にデータの価値を改めて認識してもらいその重要性を訴求していく必要がある。

Julia Goldin from Lego – 人材育成について
• 先ずもって、最優先で達成しなくてはいけないことは真の意味の多様性とインクルージョンをマーケティング界のなかで実現すること。• 我々を取り巻くあらゆる場面で多様性とインクルージョンを早急に実現させるためにはマーケティングの価値連鎖と我々の組織に所属する人材も多様化させる必要がる。• 人材を採用し、維持し、育てるために必要な方針:(1)これまでの経験を活かして、多様な才能のパイプラインを拡大するインフラを構築。また簡単に学生たちが多様な採用プログラムへのアクセスできるような環境を作ることも重要。すべてのレベルにおける採用活動で、ユニバーサルなベンチマークを作成する。(2)現代に通用するマーケティング担当者を養成し、彼らが長期的なキャリアパスを持つことができるような環境を整える。教育機関と協力して、トレーニングプログラムを開発し、ビジネスで実際に活用できるコアマーケティングスキルを提供、また、マーケティング担当者が時代とともに成長できるようなトレーニングプログラムを各企業が用意する。

⑲ Day 5

AB InBev Presents Normal Is Over. Cheers To That.
Talent: Marcel Marcondes
Category: Keynotes
時間:25分
「Normal Is Over. Cheers To That.」(ノーマルは終わり、次に乾杯)

ビールは人をつなげるもの。今は、パンデミックでつながることができない。これまでの「ノーマル」には戻らないようにしよう。

まずパンデミック時に僕らがやったこと、「アルコール」というビジネスを使った。消毒薬を急ぎアルコールから作って病院に配った。
そして広告を作った:Budweiser | One Team

(実は「このバドワイザーはOOのため」と言っているのですが、全部スポーツチームの名前になっていて、ファンにはグッとくる内容になっている)
生活者の気持ちを知るというフェーズだった。

そしてビールの家での新しい楽しみ方が生まれてきた。昔に作ったキャンペーンを焼き直して、在宅でも楽しく過ごしてもらえるようにした。
Balcony Sing-Along Starter: Stay at Home Humans of Genius:

50/50アプローチで、Good + entertainmentの両方を実現。BudLightコンサートを実施し、同時に赤十字に寄付を続けた。

Bud Light Seltzer Sessions with Brad Paisley & very special guest Lady Antebellum:

レストラン支援も実施。店に行けるようになったら使えるチケットを売り、その分レシピ紹介動画を提供した。ワークアウト動画も配信。もちろん最後はビールでリラックス。

MOVEMENT by Michelob ULTRA Throwback Thursday Workout & Retro Reunion:

リモート飲み動画も配信。友人との気のおけない、ゆるい仲を描き、パンデミック下でも繋がろう、と伝えた。

※これには元ネタが。カンヌでもグランプリになった動画

コロナver. :

今度はフェーズ3に入る。レストランやバーにQRコードが印刷されたカードをおいて、触らなくても支払いができるように考えた。
また屋外ムービーを楽しんでもらえるようアルコール・ゼロのバドワイザーも用意した。
https://www.drinks-insight-network.com/news/budweiser-brewing-group-alcohol-free/
大事なことは3つ:①人が一番大事、②素早く動こう、③アクションを起こそう

そして飲めるようになったら、乾杯しよう。
Budweiser | Reunited With Buds:

Q&A
― 今、メッセージを届けるのにベストな媒体は?

それはどんなメッセージを届けるかによる。これまでテレビを使って大きなメッセージを伝えていたが、デジタルにシフトをした。これからもデジタルは重要なチャネルになる。何よりも人間が大事だ。どう伝えるか広告会社と一緒に考えていく。人間を中心において考えよう。