Q1審査を通して得た気づき
第一に、エントリー数の少なさに驚きました。Radio & Audio部門は約70作品、Print & Publishingに至っては約50作品ほど。数=受賞難易度とは一概に言えないものの、審査員が時間をかけて各国のコンテキストまで議論しながら審査を進めていけたので、日本ならではのインサイトを用いたプリント広告やラジオCMにも十分チャンスがあると感じました。
Radio & Audio部門では、「作り方」自体がアイデアになっている企画が目立ちました。プロが高品質なクリエイティブを作るのではなく、あえて街を歩く素人にその場でラジオCMを録音させて低価格ブランドであることを表現したり、あえてタクシードライバーをコピーライター&ナレーターとして起用することでストーリーのリアルさを担保したり。作り方そのものがメッセージになっていたり、コンテンツの面白さの証明になっている企画が多く、Print & Publishing部門と比べると平均的なレベルが高かったように思います。
Q2審査の中で印象に残った施策
①A SILENT FROWN
本ならではのギミックを生かした素晴らしいクラフト力が光る作品。「苦悩の日々の積み重ねがチャップリンをチャップリンたらしめた」というメッセージを、見た人にノンバーバルで伝えるインパクトがありました。
②HOLDING OUT FOR HELP
「大企業の電話の保留音をハックする」という、目の付け所が素晴らしい企画。長い時間聞いていなければならない、自分の番がいつ来るかわからないからある程度注意して聞いていなければならない、など、保留音ならではの特性がうまく企画に生かされていました。
③DISNEY+ HOTSTAR SUBTITLE VIEW 2
「字幕を目で追っていると、映画の中の細かいところを見逃してしまう」というインサイトを大胆かつユーモラスに昇華させたラジオCM。「そもそもこのインサイトは全く共感できない!」という審査員が多くてショートリストにも入っていないのですが、現在ドイツに住んでいて、ドイツ語のコンテンツを不慣れな英語字幕で必死に見ている自分にとっては、ものすごく刺さる企画でした。