有田 絢音 (アリタ アヤネ)
ADKクリエイティブ・ワン / コピーライター
1995年兵庫県生まれ。2017年ADK入社。3年半のタイム局担を経て、2020年より現職。
受賞歴:2022年ヤングスパイクス デジタル部門日本代表 / 本戦GOLD。2021年NEW STARS クリスタル。
中村 心(ナカムラ シン)
FACT / ジュニアアートディレクター
1994年福岡県生まれ。2019年ADK クリエイティブ・ワン 入社。2021年よりFACTへ参画。
受賞歴:2022年ヤングスパイクス デジタル部門日本代表 / 本戦GOLD。
① ヤングスパイクス デジタル部門の課題はどういうものでしたか?
クライアントは、予防接種プログラムに取り組む、Gavi The Vaccine Alliance。「新型コロナワクチンについて、どのようにデジタルプラットフォームやソーシャルメディアにおける誤情報を解明し、ワクチン接種を推奨すれば良いか」という課題でした。
② 提出した作品のコンセプトを教えてください
ワクチンが開発される前にコロナが原因で亡くなってしまった著名人を、AIで復活。
亡くなられた方々が生前使っていたSNSアカウントが突然動き出すところからはじまり、遺族の方々とともに「ワクチンを受けてほしい」とメッセージしていくというアイデアです。
Facebookの「1年前の今日」の機能を使い、生前親しかった人を巻き込んだり、AIで復活した著名人のビジュアルをバナーに活用したり、さらには、一般人にもこのフォーマットを広めていくという展開にしました。
「ワクチンの開発が間に合っていたら、今も生きていたかもしれない人がいる」というショッキングな事実から着想しました。
③ ヤングスパイクスアジアのコンペティションは今回オンライン開催でしたが、オンラインでのプレゼンということで工夫した点などありましたか?
デジタル部門ではプレゼンテーションによる審査はなかったため、ボードの見せ方・ことば選びにはこだわりました。本戦は国内予選とは異なり、審査員の国籍やバックグラウンドはさまざまです。それでも、審査員全員に、アイデアを瞬時に、しかも実感を伴う形で「このアイデアならたしかに人が動きそう」と思ってもらうこと大事だと思っています。
絵作りでは特に、初見で関心を惹くことや、審査後も強く印象に残る絵を意識しました。
具体的には、明快な企画タイトルの置き方、メインビジュアルをどう象徴的にするかなどいくつかの検証をしながらスピーディにボードに落としていきました。
ボードのビジュアルがスマホ画面になってしまいがちなデジタル部門において、AIで復活した故人をメインに据えたことは印象を強くした一つのポイントだったかと思います。
④ コンペに参加しての感想(楽しかったことや、大変だったことなど)をお聞かせください。
(有田さん)
本戦で戦った24時間だけではなく、予選の前から数ヶ月に渡って中村といっしょにレベルアップしてきました。お正月が修行のため(笑)なくなったり、眠すぎて目が開かなくなったり。しんどかったこと、大変だったこともたくさんあったのですが、いま振り返ると思い出すのは、楽しくて、笑っちゃうような記憶ばかりです。こんなに濃い体験は、人生でそうそうないような気がします。
おなじ温度で戦ってくれるペアに出会えて、応援してくれる先輩や温かくクレバーな審査員の方々に出会えて、事務局の方々に支えられて、ぜんぶ揃って勝ち取ったGOLDです。本当にありがとうございました。
(中村さん)
今回も例に違わずしんどかったです。笑 特にアイデアが出ない時間はとても苦しいですが、決まってから着地に向けて一気に突っ走るあの感じは嫌いじゃない。むしろなんだかクセになる楽しさがあります。あれほど自分をすり減らしてまで、つくることに没頭できるのはヤングコンペならでは。全てを出し切った後の達成感、話した事もない異国の審査員に評価してもらえたよろこびはひとしおです。
頼れる相方の有田さん、快く力を貸してくださった諸先輩方、温かく見守ってくださった審査員や事務局の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
⑤ ヤングコンペティションはお2人にとってどんなものですか?また、次回以降挑戦する人たちへのメッセージをお願いします。
(有田さん)
純粋なアイデア勝負ができる場であり、だからこそ自分の強みや弱みに向き合いやすい場だと思います。クライアントの事情や会社名、肩書きも関係なく、同じ課題に対して同じ時間でアイデア勝負ができる環境。つまりは一切言い訳ができない環境ともいえます。だからこそ周りと比べやすく、自分の強みや弱みを発見し、向き合うことができました。
本気でやるほどに得るものは大きいと思います。
(中村さん)
グローバル水準で力試しができるチャンス。今までは端にも棒にもかからずでしたが、自分の力不足を思い知らされたのはとても大きかったです。日本、そして世界には自分よりもっとすごい若手がいる、そう思う度に自然と力が入りました。そういう意味では自分をこれまで奮い立たせてくれたのもヤングコンペだったのかも知れません。
私にとって今回の受賞は大きな自信になりました。自分の実感値を超えて褒められると不思議な感覚になるのですが、今は素直によろこびつつ、周囲の目をモチベーションに変えてこれからも精進します。ヤングコンペ、やって後悔はしないと思います。まだの方も、またの方も、ぜひ。