ヤングライオンズ/スパイクス コンペティションへのご応募ありがとうございました。
エントリー者限定ページは、各部門講評が揃い次第、順次メールにてご案内いたします。
ヤングライオンズ、ヤングスパイクス本選へ参加資格を得た方には事務局から別途連絡いたします。
※ヤングスパイクスに関しては、実施時期・方法などの詳細が未発表です。

※ページ内敬称略

Digital

デジタル部門

たくさんのご応募ありがとうございました。以下、デジタル部門の最終結果と審査講評になります。

gold prize

Entry No.C077

ADKマーケティング・ソリューションズ岡田 大毅

フリーランス世一 麻恵

silver prize

Entry No.C002

Beacon Communications/Publicis Groupe JapanMino Hikari

Beacon Communications/Publicis Groupe JapanYogi Deborah

silver prize

Entry No.C041

電通厚木 麻耶

電通齋藤 神威

bronze prize

Entry No.C061

電通加藤 皓之進

電通宋 華央

bronze prize

Entry No.C082

大広北上 安見

大広新座 利菜

finalist

Entry No.C029

電通内倉 拓海

CHOCOLATE松下 加奈

finalist

Entry No.C057

電通北海道金子 大誠

電通北海道鈴木 颯汰

                
     
finalist

Entry No.C117

電通デジタル植木 隆斗

電通デジタル髙屋敷 日奈子

応募状況

提出作品数:112作品

総評・コメント

審査員長 大塚 智Droga5 Tokyo, Part of Accenture Song

デジタル部門はもっとも「その手があったか!」のハプニングが起きて欲しい部門。なぜなら、あらゆるところにあらゆる形で存在し、拡張し続けているデジタルは、クリエイティブなアイデアを生かせるフィールドとしてもっとも広く新しいはずだからです。逆に言えば、ヤングコンペで通常賞賛されるスマートなインサイトやパワフルなコピーだけでは、あと一歩と感じることも。

シルバーに輝いたアイデアは、難民の人々にとって生きるために極めて重要なインフラが通信だということに目をつけ、世界共通のインサイトやサービスを利用して支援を募るアイデアでした。ゴールドのアイデアは、地球の反対側でも同時に繋がれるデジタルサービスで難民に仕事を生み出すという、ビジネスモデルにも近い提案です。どちらも、かつてカンヌが「広告祭」という名前だったころには想定できなかったクリエイティビティの活かし方だと感じました。

世界を動かすハッシュタグでも、ARアプリでも、Gen-AIでも、道具はなんでもいい。重要なのは「デジタルだからできるアイデアフルな表現やアピール」を越えて、「新しい人の動かし方や、新しい社会の仕組みづくりができないか?」という問いなのだと思います。その意味でデジタル部門は、拡張するクリエイティビティの最前線という側面が強くなってきているし、そうあって欲しいと思います。

2025年、あるいはその先のヤングカンヌに挑戦するみなさんへ。その時の審査員がそれまで見たことのないアイディアで、これからも驚かせてください!

審査員 青木 一真CHERRY

初めて審査に参加させていただきました。正直申し上げると私自身、20代の頃にヤングカンヌのエントリー経験がないため、そんな野郎が偉そうに審査をしても良いものか悩みながらの参加でした。今回はヤングコンペにどっぷり浸かっていないピュアな立場から、自分が勝ち抜くならどうするか?を参考までにお届けしたいと思います。

●アイデアの鮮度

当然ながら100を超える企画を見ていると、似たようなネタ被りが多数あります。デジタル部門で言うと、ランチやカフェ難民、ECからの寄付モデル、BeReal、Airbnb、Fortnite、テックスニーカー…など同じような案が散見されました。企画が被る場合、コピーやビジュアルの定着度や具体展開の精緻な落とし込み等、相当完成度が高くないとまず残りません。「自分が容易に思いつく企画は誰でも思いつく」を肝に銘じて、他チームと一線を画すユニークな着眼点、型にはまらないアイデアの追求にまずは全力を(言うは易しですが!)。

●グローバル視点

ヤングカンヌは「本戦で勝てる人」を選ぶコンペです。言語や文化、価値観が違う現地審査員がすぐに理解・共感できるユニバーサルなアイデア、表現であることが前提になります。日本人にしか受けないダジャレ的なコピー、ローカルインサイト等は通用しづらいので注意が必要です。僕と同じように日本で長く生活している方は、海外の方にも一言で伝わるか?世界共通の関心ごとか?をチェックすることが大切だと思いました。良いアイデアでもそこがネックになって減点対象になるケースは意外と多いです。

●コミュニーション

これも超・当たり前ですが、プレゼン本番では英語力がモノを言うなと改めて痛感しました。ネイティブのように流暢に説明できる、質問にも端的に答えられるチームは(国内審査においては)かなり下駄を履けるなという印象です。アイデアが良くても、プレゼン時に英語原稿の棒読み感が出てしまうと、残念ながら「本戦で大丈夫かな」と。また、プレゼン時に堂々と力説できる、厳しい質問にも愛嬌を持って答えられる、そんな強い心臓の持ち主も評価が高かったです。企画はもちろんですが、審査員にはキャラクターも見られています。

最後に、惜しくも結果が残せなかったみなさまへ。
私が言うのも何ですが、ヤングカンヌはあくまで手段でありゴールではありません。この公募コンペで結果が出せなくても活躍されている先輩は多数いらっしゃいます。また逆も然りです。ヤングカンヌに過度に捉われることなく、むしろ失敗や悔しさをバネに「本業で結果出したるで〜」くらいの気概で向き合ってみるのもアリだと思います。
長くなりましたが、来年以降も、みなさまのご活躍を祈念しております。

審査員 兼田 麻衣McCann Health Japan

今年も熱いアイデアとプレゼンをありがとうございました。今年の課題は自分ごと化しづらく皆さん苦労された印象でしたが、選ばれたチームは、難民の方達のサポートにきちんと繋がるのか?という本質を見失わないようにしながら、アイデアの飛距離も作れていたチームでした。

“The World's Toughest Hidden Talent”は、生きるために欠かせない「働くこと」に着 目し、継続的なサポートを生み出すアイデア。着眼点がとても真摯で、彼らのことをしっかり考えたのだと強く感じました。「いいアイデアだから提案している」を超えて「本当に救える」と信じて提案されていたことが印象的で、審査員の心を動かしたと思います。知人のリアルストーリーから考えたという背景を聞き、納得しました。

“The Longest Flight”は、似たアプローチのチームが複数ありましたが、航空券の予約サイトでの見せ方、マイルを寄付するというExperience Design、BoardやPresentationのクオリティが最もレベルが高いチームでした。ぜひBoardを皆さんにみていただきたいです。今後の進化が楽しみなチームです。

“Share The Connection”は、BoardからPresentationへのジャンプが一番大きかったチームでした。Boardを拝見した時点では実現可能性に疑問がありましたが、当日までに実際にステークホルダーにヒアリングをし、実現可能性を確認してからPresentationに臨む行動力が素晴らしかったです。また、アナログなパネルなどを用意してくるチームが多い中で、スマホで実際に動くモックを用意してきたことも評価につながりました。来年以降二次審査に進むみなさんは、デジタル部門ですので、デジタルでどう魅せるか?という観点でのPresentationを考えてみていただけたらと思います。(現地 審査で戦う強い武器になると思います)
選ばれたチームの皆さん、現地での戦いを心から楽しんできてくださいね!

審査員 村上 晋太郎電通

難民支援をテーマとした今回の課題は、歴史のあるお題でしたが、多くのエントリーが過去の事例を研究しつつ、新しいユニークな切り口に挑戦されていたと感じました。

多くのアイデアが難民問題の社会認知を広げる可能性を秘めていました。その中でも上位に選ばれたアイデアは、認知の拡大だけではなく、雇用の創出や余剰資産の活用といった具体的かつ持続的な解決策を提示し、さらにその提案がコアアイデアやプラットフォームとの親和性を持ち、実現可能性が高いものであると感じました。

特に、上位2つのエントリー「The World’s Toughest Hidden Talent」と「The Longest Flight」については、ゴールド受賞案を決定する際に議論が白熱しました。

「The Longest Flight」はボードデザインやプレゼンテーション内容が非常に高い完成度を誇り、審査員全体の評価が高いものでした。しかし、「The World’s Toughest Hidden Talent」の、「Follow the Sun」による雇用創出という視点は、解決策の力強さや独自性の面で一歩上回っていると感じました。ユニークで新しい視点を見つける能力を評価するという意志により、今回の結論に至りました。

本戦での健闘をあらためて、お祈りします!

Media

メディア部門

たくさんのご応募ありがとうございました。以下、メディア部門の最終結果と審査講評になります。

gold prize

Entry No.M109

Droga5 Tokyo橋本 世央

Droga5 Tokyo村上 恭理

silver prize

Entry No.M119

博報堂伊藤 輝

博報堂渡邉 大介

bronze prize

Entry No.M020

電通國領 実果

電通小城 里緒

finalist

Entry No.M029

博報堂浅見 紘子

博報堂諸星 亜佳里

応募状況

提出作品数:146作品

総評・コメント

審査員長 中尾 素子TBWA\HAKUHODO

メディアが多種多様化する中で、Media×Creativeの可能性はますます大きく広がっていると感じています。
今年のメディア部門の応募数が過去最高となったことも、その象徴ではないかと思っています。
たくさんのご応募ありがとうございました!

さて、今年のテーマである難民問題は、日本に住む我々にとっては身近に感じることが難しいテーマだったかもしれません。
そのため、一次審査では難民問題の理解が少し浅く表層的なアイデアに留まってしまっている作品も多かった印象です。

受賞した作品に共通して感じたのは、

  • 人の心が本当に動き、行動を起こしたくなる強いアイデア×身近なタッチポイント/メディア
  • 一時的なキャンペーンにとどまらず、継続的に課題解決するストラテジー
  • エグゼキューションのクオリティの高さ
  • でした。

    グランプリは、難民の方々を弱者として捉えるのではなく、彼らの経験や視点を活かして開発した商品をメディアとして、生活者と難民問題のコネクティビティを継続的に創出し続けるとともに、レベニューシェアで難民の方々の自立的な経済支援にも繋げるという、ユニークで細部までよく練られた素晴らしいアイデアでした。

    また、最後に順位の決め手になったのはやはり英語でのプレゼンテーションカ・説得力です。
    これは単なる「語学力」ではなく、英語で自分達のアイデアの魅力をきちんと説明し切れるか?
    が重要で、自分達のアイデアに対する強い情熱や論理性も必要になります。
    この先、グローバルに活躍したいクリエイターの皆さんにとって、必要不可欠なスキルだと思いますのでぜひ努力して磨いていってください。

    ヤングカンヌのメディア部門は普段クリエイティブ職の方々だけでなく、メディアプランナーやビジネスプロデューサー、営業職など幅広い方がチャレンジしやすい機会だと思います。
    Creativityは広告業に携わるすべての人がもつべきものだと信じています。
    来年、またたくさんのフレッシュでユニークなアイデアに出会えることを心から楽しみにしています。

    審査員 金坂 基文電通

    ●目立つか?

    正しいだけでは良くなくて、
    無関心な人にオオッ!と思ってもらわないと。
    物資を届ける的、Table for Two的、はまだ小さいです。
    10億人が動きそうな企画が良い企画。

    ●他と違うか?

    ゲーム、ハイブランド、ロゴ遊び、
    アマゾンもの、UIUX周り、サッカーユニ。
    世界中でかぶりまくっています。
    それと難民との距離が遠すぎるから腹に落ちない。

    ●最後に不快感を残してないか?

    ショッキング!なアプローチはOKですが、
    最後まで不快にするのは誰得です。
    こんな汚いのを的、は結構ありましたが、
    みんな買うかな? 言いたくなるかな?
    災害キット企画、は配慮が必要。
    自分自身の命を守らないといけない時は
    広告の時ではないから。

    ●コピーとデザインは詰めてるか?

    もしかして単純翻訳だけでフィニッシュしてませんか?
    こんな寄付!的な企画が複雑で長く説明されても辛い。
    強い言葉は必要。一文字でも短く。
    もしかしてデザインを適当にしてませんか? 
    ラゲージタグ、キャンプギアとかオシャレにしないと。

    ●自分で交渉に行けますか?

    コラボします的、こんな商品を作ります的、な企画は
    相手先のメリットをきちんと設計できてますか?
    お金や大義だけでは彼らは動きません。
    大切なブランドのパッケージデザインを
    1日限り、でも簡単に変えません。
    優秀なCDはメディアやコラボ相手に交渉に行きますからね。
    いままでに実現したことのない企画が良い企画。
    もしかして実現できるかもしれない企画が良い企画。

    審査員 佐々木 芳幸monopo

    難民問題という日本人にはあまり馴染みのなさそうなお題を、どう日常に持ってきて気づかせ、巻き込むか。むちゃくちゃ難問ではあるが、ヤングライオンズではわりとあるある問題。昨今のホットトピックでもあったので予想できたかも?毎年ヤングライオンズに取り組んでいたり、研究・対策をしていたチームとそうでないチームの差が開くお題だったかもしれません。

    全体的には、アイデアやアプローチがかなり被ってしまっていたり、アイデアは良いがプレゼンや英語に難があるチームや、その逆のチームもいたり最後の最後まで飛び抜けたチームがおらず、あと一歩で代表になれそうなチームはたくさんいたと思います。

    また、英語のプレゼンスキルは平均的に上がってきてきている印象です。みなさん頑張りましょう、僕も頑張ります!

    ゴールドに選ばれた「GUARDIANS OF THE REFUGEES」は、アイデアの力強さとクラフトスキル/瞬発力に関して素晴らしく、本番でも強いチームと思いました。一方で、プレゼンと英語での対話スキルに関しては課題が、たくさんありそうです。本番までに集中して取り組んだほうが良いかもしれません!現地でぜひ勝ってきてください!

    最後までほぼ同点だったシルバーのチームのプレゼンテーションは完璧だったと思います。最後まで競っていましたが、今回はコアアイデアの強さでほんの一歩、ゴールドチームに及びませんでした。超強いペアだと思います!今後も応援しています。

    昨年のコメントのほぼコピペになりますが、現地での代表経験や審査を経て僕なりのヤングライオンズで気をつけたいポイントを記載します。(ご参考までに!偉そうですみません)

    ●早いか

    グローバルコンペでは様々な文化・言語のバックグラウンドを持った審査員がいるため、デッキ・アイデア・プレゼン全ての要素において、「皆がすぐ理解できるか」という要素は非常に重要だと思います。

    本戦では数十カ国を1日でプレゼン審査する環境かつ、あらゆるバックグラウンドの審査員がいるため、全員が「Make Sense」していること、非常に重要だと考えます。「わかりやすさ」はそれだけで評価に値すると思います。

    ●プレゼンはコミュニケーション

    特に質疑応答において、基本的な英語力やプレゼンテーションスキルは必須ではありますが、ネイティブスピーカーだとしても、何を言いたいのか伝わらない、質問への回答がわかりにくい、いらない情報までダラダラと話してしまい、聞いていて飽きてしまうということはあると思います。そういう意味では英語力も大事だけど、「プレゼンテーションをコミュニケーション」と捉えて、届けかたを入念にデザインしたチームは上位に食いこんだと思います。

    すばらしいアイデアも、届けかたが微妙だと、本戦では勝てません。英語だけでなく、届けかたを頑張ってみてください。

    ●大きいか

    メディア部門は「何をメディアと定義づけるか」というのがみなさんが苦戦するポイントのひとつだと思います。全体を通して感じたのは、ユニークなメディアを発見することにこだわりすぎて、アイデアが実装された時の影響がすごく小さくなってしまいがち。

    この点では国内予選はバジェット制約がなかったので、小さく面白いアイデアもダイナミックに展開案を作ることは容易です。しかし、僕が参加した本戦ではバジェット設定がありました。(実際のクライアントもいた)

    「どれだけお得に大きい影響を与える設計にできるか」という問いは、本戦を意識したチームが取り組むべきポイントなのかもしれません。

    審査員 東谷 彰子ORIGINAL/タイムアウト東京

    ヤングライオンズ コンペティションの日本国内予選において、私がメディア部門の審査員を拝命するのは今年で5度目となります。毎年、発想力と行動力を持ち、さらに努力家でもある若いクリエイターたちと出会うのは、本当に楽しい経験です。私たち、審査をする側も、世界で戦えるチームを選びたいと、真剣に向き合っています。

    今年の審査は、判断がとても難しいものでした。発想力、企画力、実現可能性、英語力などで、美しいレーダーチャートを描く、ずば抜けたチームが残念ながらおらず、審査員の5名は、時間をかけじっくりと意見を交わしました。

    例年の講評では、英語で企画書を作る際の注意点について述べてきましたが、今回は、英語でプレゼンと質疑応答をする際に留意したいこと、特に、日常で英語を使うことがない人たちに対して、いくつかアドバイスをしておきたいと思います。

    企画書については、英語ができなくても、AIをうまく活用すれば、上質な英語のものを書きあげることができます。今回の審査でも、企画書だけを見ると、ネイティブかそれに近い英語力の持ち主だと思われるチームがありましたが、いざ、プレゼンとなると、準備不足で日本語で対応するチームがいたり、かなりの練習量をこなし暗記で乗り切ったけれど、質疑応答ではとたんに慌ててしまうチームがいたりしました。

    英語力のない人が英語でプレゼンと質疑応答を行う際に気をつけたいことを書いておきます。
    やはり簡潔で、自分で分かる表現を使うことが一番大事なことです。例えばAIを駆使して、普段自分が使わない、意味を明確に理解していない「それっぽい表現」を使うことは避けるべきです。
    さもないと、例えば、プレゼン資料と違う単語や表現を使おうとして、資料に書かれていることと矛盾することを言ってしまったりします。英語に不安がある場合は、自分のわかる表現で、事前に用意した資料やスクリプトに沿って、アドリブを入れずに進めるべきでしょう。

    また、伝えたいことを自分のペースで最後まで言い切ることも大切です。質疑応答の場面などがそうですが、英語が得意ではないと自分で思い込んでいる日本人は、発音と文法を気にしてしまい、伝えたい考え・思いを省略することがよくあります。相手の話すスピードと合わせる必要はありません。しっかりと最後まで伝えることを心がけると良いでしょう。

    そして、明るく覇気のあるプレゼンテーションをすることは確かに大切なのですが、あまりに元気な印象を演出しすぎると、子どもっぽく見えてしまうので、その点においては注意が必要です。

    最後に、これは毎年思っていることですが、これらの企画が実現されることによって、ささやかであれ、社会の課題が少しでも解決されることを期待しています。

    審査員 平井 孝昌ADKマーケティングソリューションズ

    今回「難民」の課題が日本人にはまだ一部を除き関係性が薄いこともあり、応募された多くの企画は生活者の意識や認知を上げる、そしてチャリティをする、という一般的なジャーニーに沿うものだった。
    一方、欧米では難民問題は喫緊の問題になっており、意識フェーズが大きく異なる。
    今回、ターゲットが日本人メインだったかもしれないが、それでも視座・視点を大きく転回し、世界のプランナーと同じ舞台で戦うためのビジョンを持てるか?が重要なポイントになったと思う。
    選出されたグループは、意識向上や安易なチャリティ活動ではなく「難民の人々と自分たちは同じ人権を持っているんだ」という唯一無二の視点を持っていた点が非常に優れていた。
    本選では欧米寄り、もしくはもっと当事者に近い国からの参加者も交えた課題の可能性が高く困難に直面すると思うが、「外の」人間だからこそ編み出せる考え抜かれたアイデアで戦ってきてほしいと思う。

    Film

    フィルム部門

    たくさんのご応募ありがとうございました。以下、フィルム部門の最終結果と審査講評になります。

    gold prize

    Entry No.F062

    博報堂德岡 淳司

    電通デジタル萩原 志周

    silver prize

    Entry No.F023

    TYO櫻井 美希

    Village山口 えり花

    silver prize

    Entry No.F012

    リコー高橋 凜太郎

    Droga5 Tokyo村上 リ子

    bronze prize

    Entry No.F042

    電通岩田 奎

    電通宝田 知隼

    finalist

    Entry No.F019

    東北新社工藤 ユリア

    螢光TOKYO小泉 佑太

    finalist

    Entry No.F046

    電通宋 華央

    電通三輪 夏未

    finalist

    Entry No.F056

    ギークピクチュアズ沖 悠司

    電通春田 凪彩

    finalist

    Entry No.F063

    WACHAJACK北崎 隼

    電通藤本 千尋

    応募状況

    提出作品数:61作品

    総評・コメント

    審査員長 新沢 崇幸Wunderman Thompson Tokyo

    フィルム部門は参加ハードルが最も高い部門です。
    にも関わらず、去年よりはるかに多いチームの参加がありました。レベルも全体に上がっているように感じました。
    こういった審査では「正しい課題解決力」と「人と被らないオリジナリティ」の両方が問われます。目立てばいい、だけでは評価されせんが、真っ当すぎるだけでも勝てない。
    一次、二次審査を経て上位に残ったのは、正面から課題に向き合う実力もある上で、敢えて「外す」ことのできたチームだと感じました。勝負するのは1案だけですが、そこに辿り着くまでにどれだけ考え抜かれたか。それって皆さんが思う以上に審査員が見ているポイントです。
    どう当てるか。どう外すか。自分たちのどんな強みで勝ちにいくか。どこでアイデア開発をやめて制作に時間を割くか。プレゼンで何をアピールするか。
    それらを本気で考えて、本気で勝つ設計ができるチームが強かったのだと思います。
    簡単なことではありません。でも短い時間でこれだけの挑戦をすることは、あなたとチームの力をかなり効果的に向上させることになります。ぜひこれからもヤングアワードに挑戦し続けてください。勝っても負けても、得るものしかありません。たくさんのヤル気とフレッシュなアイデアを楽しみにしています。

    審査員 杉山 元規Droga5 Tokyo, Part of Accenture Song

    今年から審査員を拝命し、世界に挑む今の若手の皆さんの背中を後押しする。その責任と喜びを感じながら審査に臨みました。自分自身も24歳の時、Young Lionsのこのフィルム部門で日本代表となりカンヌに初挑戦。日本予選からカンヌ本戦までのあらゆる経験が唯一無二で、自身のクリエイティブ人生に特別な影響を与えてくれたと実感しています。

    エントリーは総じてレベルが高く、一次審査、二次審査ともに審査員の票もばらけました。僕が審査する上で一番大事にしたのは、切り口(Proposition)の鋭さ。大きな社会問題をどう捉え直したか。その問題ならではのインサイトやファクトから、どう新しい視点を見つけたか。どんなアイデアで風穴を開けようとしたか。ただの恐怖訴求や問題描写どまりでは不十分。一歩踏み込んだ独自の訴求メッセージがあることで、動かなかった心が動く。それがフィルムの力だと思います。

    GOLDに選ばれたチームの一次審査のエントリーは、全エントリーの中で一番良いと思った作品でした。二次審査でも勢いのあるプレゼンで空気を変え、幅広く鋭い切り口をぶつけてくれました。良い意味で太々しく、根拠のない自信と余裕があり、喧嘩にも強そう。聞けば数年前にもフィルム部門の日本代表に選ばれ、コロナ禍でリモート開催されたカンヌ本戦では惜しくも敗れたチームだそう。年齢制限ラストイヤーで掴んだ2度目のチャンス。今度はカンヌ現地で大暴れして、きっとリベンジを果たしてくれるでしょう!

    審査員 佐藤 雄介電通

    GOLD:F062
    二次の2つのコンテが、コピーも含めどちらも良かったです。
    何より、本戦で戦う、説得力がありました。おめでとう!

    SILVER1:F023
    一次のフィルムが特に良かったです。
    コピーで強固なフレームをつくることができ、
    実作業でも安心して任せられそうなチームだと思いました。

    SILVER2: F012
    二次にて、発見しているwhat to sayは、いちばん強かったです。
    その発見を、ソリッドに伝えることができれば、と思いつつも。
    1次2次と、企画の幅が出せるチームで、とても良いなと思いました。

    BRONZE:F042
    シンプルだけどヤンチャな企画が良いチーム。
    二次も、自分たちのスタンスを崩さず、シンプルで強いコンテで戦う姿勢が良かったです。
    次に期待しています。

    個人的にはファイナリストの、F063の一次のフィルムと、二次のコンテが
    海外賞のコンペ、という文脈は一旦、無視して。カッコよかったです。
    フィルムが無音だった意味を、二次のプレゼン時に聞いて、なるほど!と思いました。
    ぜひ、これからもそのスタンスで実作業でカタチにしていってもらえればと思いました。

    審査員 たじまなおこ演出

    今年は全体的に安定したレベルの高さを感じました。どのチームもブリーフに対して細かいリサーチをし、幅広い切り口、カンヌでのフィジビリティなど深く考察していたと思います。ただし、インサイトや企画の軸はしっかりしているにも関わらず、表現段階で詰め込みすぎて軸がぶれたり、散漫になる惜しい面が多々見られました。映像の中でどのカットをキービジュアルにするか、どこをクライマックスにするか、をより深く考えることでぶれない表現に仕上げられると思います。

    コピーに関しては、ワーディングのオーバーユースが目立ち、インパクトが薄れてしまっているものが多かったです。国際舞台においてコピーはシンプルかつ概念的な一言がいいと思います。さらに、キーとなるワーディングは、英語でドンピシャな言葉を使っているかを再再々確認することをお勧めします。なぜなら、間違ったニュアンスのワードを使ってしまったがために、それまでのアイデアが台無しになってしまうことが起こりうるからです。

    最後に、今年は全体的に英語でのプレゼンのレベルが高かった印象を受け、大変喜ばしかったです。英語ができれば世界の広告をより深く理解することができ、クリエイティブに対する視野も広がるので、今後も若手のクリエーターたちには英語力も磨いていってもらいたいと思います。

    審査員 timoBlack Cat White Cat Music

    今年のフィルムのヤングカンヌは過去最高の応募数と聞きました。
    数が増えれば良いと言うわけではないのですが、とても嬉しく、その上全体的なレベルも高かったので、本当に見るのも楽しかったです。
    なので、まずはメダルやファイナリストに選ばれなかった方々の中にも素敵な企画があり、その方々達にもエールを送りたいと思います。
    では、何がそこまで総合的にレベルが高ったかと言うと、まずはブリーフをしっかりと理解されていたこと、そして企画のベースとなる着眼点がとても良かったです。
    この2点がしっかりしていないと、その他頑張っても、意味がなくなってしまいす。
    ユニークアイディアもその一つの要素でズレてしまいます。
    過去にはそういった企画が多かったので、今年はとても嬉しかったですね。
    またそこをベースに作り上げられたアイディエーションもとてもユニークなものが多く、なんと言うか、とても勇気のある企画が多かったと感じました。
    複雑すぎる作品も減っていて、また英語のコピーで頑張り過ぎていない企画が多く、とても良かったです。
    英語はやはり理解と喋れるだけではコピー中心にはしづらいと思うので、頼り過ぎない方がおすすめですね。
    広告でのコピーの力はとても大きいですが、言葉中心でなくても伝えられるのもまた映像広告の良さなので、今年の様に、シンプルにスマートなのがとても良いと思いました。
    ただ勿論これで満足していてはダメなので、また今後のヤングの方々にはさらなる高みを目指してもらいたいので、気になった点も書かせてもらいます。
    大体、ブリーフの理解・解読→インサイト→アイディエーション→アウトプットの流れになるかと思いますが、最後のアウトプットは全体的に弱かったと思います。
    どの素敵な企画も、もっと良く出来るポテンシャルを持っていたと感じました。
    アイディアや着眼点はいいのに、そこからの広がりがもっと良くてもいいと思いました。
    シンプルは大事ですが、削ぎ落とし過ぎている企画や、逆に付け足し過ぎている企画など、最後の詰めが甘い感じは否めませんでしたね。
    ヤングコンペティションの難しさは48時間の時間制限にあると思うので、全体的なペース配分・時間割がとても大切です。
    アウトプットが一番最後に来るので、どうしても時間軸的には一番後ろになってしまいます。
    だから配分をもっと大事にして欲しいと思います。
    自分たちのチームの強みを活かした配分でもいいですし、勝手にブリーフを作って練習してみてもいいと思いました。
    そうすると自分達のチームにあった、配分が見えてくるはずです。
    本当に今年はとても良かったので、この流れに乗ってもっともっと良くなって欲しいですね。
    自分のフィードバックがちょっとでもその助けになれたら嬉しく思います。
    皆さん本当にお疲れ様でした。

    PR

    PR部門

    たくさんのご応募ありがとうございました。以下、PR部門の最終結果と審査講評になります。

    gold prize

    Entry No.PR161

    サイバーエージェント西谷 崇

    サイバーエージェント藤木 良祐

    silver prize

    Entry No.PR048

    電通厚木 麻耶

    電通齋藤 神威

    silver prize

    Entry No.PR079

    博報堂池邊 航太

    博報堂岡本 渚

    bronze prize

    Entry No.PR083

    博報堂クリエイティブ・ヴォックス河口 泰子

    博報堂汪 芸佳

    finalist

    Entry No.PR030

    博報堂入江 遥斗

    博報堂プロダクツ髙野 瑛世

    finalist

    Entry No.PR156

    ビーコンコミュニケーションズGirfanova Daria

    ビーコンコミュニケーションズ Jeong Jiwon

    finalist

    Entry No.PR177

    電通本田 達也

    電通松浦 佳基

    finalist

    Entry No.PR199

    博報堂津島 英征

    博報堂中西 亮介

    応募状況

    提出作品数:212作品

    総評・コメント

    審査員長 本田 哲也本田事務所

    受賞者の皆さん、おめでとうございます。今年、審査委員長として特筆すべきは、まずそのエントリー数です。200件を超えたエントリーは、PR部門として過去最高なだけではなく、他部門も含めた10年のヤングカンヌ日本予選の歴史上最大でした。審査団は、前代未聞である「2000ページ」に目を通し審査するという、嬉しい悲鳴をあげることになりました。

    さて、エントリー数という「量」の面では過去最高でしたが、では「質」としてはどうだったかと問われれば、残念ながら喜ばしい面だけではありません。今年の課題は、日本において関心の薄い「難民」だったわけですが、皮肉なことに、エントリーされたアイデアをレビューしていくにつれ、我々はその事実――日本人の難民問題への理解のなさ――を突きつけられることになりました。言葉を選ばずに言えば、「平和ボケ」とでも言うべきアイデアが多く見受けられました。

    PR=パブリックリレーションズの本質は、「バズりそうな面白いアイデア」を考えることではありません。社会課題への深い洞察があった上で、炎上リスクなども考慮する必要があります。そうした「見立て」があった上で、はじめてクリエイティブアイデアが活きてくるのです。エントリーされた皆さんはぜひ、この視点からもう一度自分たちのアイデアを見直してみることを強くお勧めします。

    最終審査まで進んだエントリーには、この点をすべてクリアしつつ、他にはないユニークなアイデアを有したものでした。2000ページから選ばれたチームですので、受賞された皆さんは自信を持ってください。来年のカンヌやスパイクスで、日本代表となった皆さんの検討を祈ります!

    審査員 尾上 玲円奈マテリアル

    パブリックリレーションズの、幅広い考え方やソリューションのうち、どこに重点を置いて考えるのか。

    今回は、日本でまだまだなじみの薄い難民問題を扱った課題で、挑戦者の皆さんにとっても、審査員の皆さんにとっても、非常に難易度の高いテーマになっていたと思います。課題の壁の高さを乗り越えられるのか…ということで、僕は今回特に、日本の現状に大きな変化をもたらし、難民への支援を後押しする実効性や、プランの実現性、日本社会における納得性が高そうな提案を評価するよう意識していました。

    ご存知の通り、日本が難民条約に批准してから40年以上経過していますが、難民認定率は他の先進国と比べて著しく低い現状があります。現状を打破していくには、一般的な理解や受け入れ体制を整えるだけでなく、社会の不安や懸念に答える準備が必要です。

    幸いにも、考え方の間口が広いパブリックリレーションズは、喜びや楽しみだけでなく、悲しみや苦しみ、怒りを原動力にすることができます。難民への支援が定着しきれず、実行に移される支援の数や量が少ない日本の今を見事に変えていけそうなプランは、他のカテゴリーと比べて考え易かったのではないかと思います。素晴らしいインサイトを見つけてくることや、コアアイデアを打ち立てること、クリエイティブジャンプを創り出すことが、他のカテゴリー同様、勿論大前提となるのですが、PRの考え方やソリューションの、何を使って日本を動かそうとしたのか。最後は、プレゼンターの熱意も含めて評価させていただきました。

    過去最多212組の皆さん、本当にお疲れ様でした!勝ち抜いた皆さんは、世界中の予選の中でも最も過酷なレースを勝ち抜いたことになります。心から敬意を表します。ここからスパイクス、カンヌまで、まだ時間がありますので、審査員たちと意見交換やトレーニングをした後、実践の場に臨んで、栄光を勝ち取ってもらえればと思います。一緒にパブリックリレーションズの素晴らしさを味わい尽くしましょう!

    審査員 香田 有希電通PRコンサルティング

    この度受賞された皆さん、おめでとうございます。

    今回の課題は、既に多くの取り組みがあり、コンセプトやアイデアの起点設定に苦心されたのではないかと思います。まったく新しい課題ではないからこそ、強いインパクトを持ってターゲットの視界に入れることの難しさを感じられたんだろうなと思うエントリーが多くありました。

    加えて、今回はUNHCRとターゲットに留まらず、当事者である難民の方たちに関する理解と洞察も企画における重要な要素でした。ターゲットへ届けることに意識が行ってしまい、そこが疎かになってしまったのではないか、難民に対する考えをもう少し及ばせてほしかったな、というのが正直な感想です。難民問題は残念ながら短期間で解決が見えている課題ではありません。今、この瞬間にも「難民」は生まれています。一時のブームで終わることのない、持続性と汎用性のあるプランが個人的には印象に残りました。

    2024年のヤング・ライオンズ、ヤング・スパイクスでは初受賞の国が3か国もありました。世界のライバルはどんどん増えています。これからも様々な見聞を増やして、世界で戦えるPRパーソンになってください。

    受賞者の皆さんのアイデア、プレゼンテーションにはその力と可能性がありました。その力を思う存分、発揮してきてください。楽しみにしています!

    審査員 中川 諒Droga5 Tokyo, Part of Accenture Song

    ⚫︎全体講評

    まずは、たくさんの応募ありがとうございました。若手のときは、実務のなかで最初から最後まで企画を全部担当することは少ないと思います。でもヤングカンヌならそれができる。特にPR部門は、企画書とプレゼンがあるので一番実務に近い形式だと思います。ぜひこの機会を活かして、受賞この場で目立つだけでなく、自分の腕を磨く場として活用してもらえればと思います。

    正直に言うと、今回はかなり目立つ粒の少ない回でした。その企画が実現すると、誰が喜ぶのかよくわからないものが多かったです。さらに応募数の増加に伴って、今回は案かぶりが多重発生していました。「ランチ難民」など別の「難民」というワードにかけた案、ファッションショーをする案、食べ物のデリバリーオーダーから寄付を渡す案、疑似体験させる案などです。

    企画を考えるときに、意識してほしいのは「今のパーセプションを見せるだけの企画でいいのか」ということです。別のモチーフで見立てる。同じ状況を置き換える。それだけでみんなが知っている「難民問題」から抜け出すことはかなり難しいと思います。200以上のアイデアの中から抜け出して、1位をとる「出し抜く姿勢」が必要です。

    それは企画そのものだけでなく、ネーミング、キービジュアル、プレゼン様々な形で表れています。今回上位に残ったチームは、そのどこかにパワーがあったチームだと思います。案を考えるときには、その企画をやるとオーディエンスはどう感じるのか。その企画を一言でいうと、どういう名前になるのか。どういうビジュアルが一番伝わりやすいのか。どう伝えると、一番盛り上がるのか。そこを考えて来年またチャレンジしてほしいです。

    審査員 村山 佳奈女博報堂ケトル

    冒頭から自分の話ですいませんが、今回のメダル受賞作はすべて自分が1次審査から推した企画が選ばれました。うれしい!三連単を当てたような気持ちです(審査員業務に金銭の授受はありません)。

    ゴールドに輝いた”Invisible Pianist”は、企画の独自性もさることながら、YAMAHAというブランドが難民にもよく知られているという事実の発見(そこを企画書に書いてなかったのは永久の謎ですが)、善意頼みになってしまいがちな寄付にきちんとモチベーション・納得感を付与した企画力、訊かれてもないQ&Aを勝手に繰り広げるプレゼンターの胆力、あれ結 局、この子たち、ただ音楽が好きなだけでは……と疑心暗鬼も呼び起こす、不思議な寸劇(ショートコント)などなどが評価されました。はじめから終わりまで、審査員全員が笑わされっぱなしの15分間でした。

    メダルの色は、最後の最後で企画者/話者のパッションがものを言う、この仕事のいちばんおもしろくて、残酷なところで決まったように思います。 おそらく能力の差ではなくて、絶対に通したい、「自分たちのアイディアが一番おもしろい!」と信じられる企画を出せていたかと、その思いをすべてぶつけられていたかの僅差でした。

    頭が下がるクオリティの企画書を多数、今年もありがとうございました。来年もある人、応援しています。今年で終わりの方。一緒にがんばりましょう。

    Design

    デザイン部門

    たくさんのご応募ありがとうございました。以下、デザイン部門の最終結果と審査講評になります。

    gold prize

    Entry No.D031

    Droga5 Tokyo竹馬 渚

    Droga5 Tokyo湯 鈺唯

    silver prize

    Entry No.D043

    TBWA\HAKUHODO望月 瑠海

    TBWA\HAKUHODO戸矢 渚

    bronze prize

    Entry No.D018

    TBWA\HAKUHODO横田 恵莉奈

    TBWA\HAKUHODO上杉 莉子

    応募状況

    提出作品数:53作品

    総評・コメント

    審査員長 筒井 晴子電通

    たくさんのご応募ありがとうございました。
    今年はゴールド、シルバー、ブロンズで各1作品を選ばせて頂きました。
    おめでとうございます。
    難民問題という身近ではない課題に苦戦されているのがよくわかりました。
    評価したポイントをいくつかお話ししようと思います。

    ・難民問題のどこに向き合おうとしたか。
    自分が持っているイメージやブリーフに書かれている情報だけを
    頼りにすると、似たものになりがちです。
    よく調べて自分たちのポイントを見つけ、
    それがアウトプットとして成り立つか同時に考える。
    一歩目が大きな差になると思います。

    ・オリジナリティがあるか。
    既存のマークをモチーフにした作品がいくつかありました。
    その時点で少し不利になってしまいます。
    よっぽど飛び抜けていないと、このルートは厳しい。コンペなので。

    ・デザイン部門として戦えるか。
    アイデアは良いけれど、VI(アウトプット)としてはどうか。
    ボード全体はどうか。
    このチームが、「デザイン部門の本線で戦えるか」という視点で見ています。
    ボードは限られたスペースで、アイデアを整理する作業です。
    アイデアのコアが何で、デザインが何を達成しようとしているか。
    見るひとに伝わる順番で組めているか。
    そういう意味で、ボードのレイアウトも重要です。

    ・プレゼン審査までのブラッシュアップが素晴らしかったです。
    1次で「弱いな」と思っていたところを見事にブラッシュアップして、
    プレゼンに挑んで頂いていました。
    1次と2次でほとんどの作品の印象が変わり、正直評価も入れ替わりました。
    逆に言うと、もう一歩深めていたら2次に進み、勝ち抜いていた案が
    たくさんあったのではないか。とも思います。
    2次に進まれた皆さんは、審査員の質問(視点)を意識したのではないかと思います。
    それを最初から仕掛けられると良いのかもしれません。
    最終フィニッシュの前に、ちょっと待てよ、と引いてみる。
    見つけたアイデアの何がポイントなのか(他との違い)
    ひとことで言うと何なのか。初見の人に伝わるか。
    アイデアを料理しすぎてわかりにくくなっていないか。
    もっと大胆にできないか。
    弱いところはどこか。(審査員は何を聞いてくるか)

    ポイントをいくつか挙げさせて頂きました。
    またチャレンジしていただけたら嬉しいです。
    審査は実は楽しいです。
    最後になりましたが、皆さま本当にお疲れ様でした。

    審査員 飯田 訓子Landor

    今年は課題の難易度が高かったのか、各チームのアイデアからから、その難しさに苦戦している印象が伝わってきました。そのため第一次予選の審査員の票も割れました。デザイン部門は「VI」と「そのVIを中心においた課題解決アイデア」の提出が必須でしたが、審査で重視されることは、課題に対する視点の発見、それもクリアでユニークなものであることが重要性です。優れたアイデアは日々のニュースや社会問題への関心の高さから生まれます。いかにアンテナを高く張り、情報をキャッチアップしているか、それがアイデアの差に表れているように感じられました。選ばれたチーム、本当におめでとうございます!惜しくも選ばれなかったチームも、今回の経験を糧に、更なる飛躍を期待しています!

    審査員 川村 真司Whatever

    今年は「難民問題」という、なかなか日本に暮らす人間にとっては「自分ごと化」するのが難しい課題だったためか、応募作品全体のレベルが低かったと感じています。お題であった「ビジュアルを起点とした立体的なアイデア」は考えられていると感じましたが、その効果に納得性が低かったり、どこかで観たような強度が足りないビジュアルであったりするものが多く、正直がっかりしました。でも本戦では、こういったグローバルな課題が出題される可能性の方が大きいので、これに対応できるようなチームが日本にもっと増えてくれることを願っています。耳に痛いかもしれませんが、せっかくのグローバル・コンペなので、もっと自由に考えつつも、問題の本質を丁寧に捉えるように心がけましょう。そしてその視点を元に、グローバルなオーディエンスにも納得性が高い、ビジュアルインパクトあるソリューションをぜひ目指すようにしてみてください。

    そんな中、優勝したチームの作品は、フレッシュなビジュアルと未来に向けたポジティブなメッセージがあり、その裏側のロジックにも一本ちゃんと筋が通っていた点が票を集めたように思います。若干ビジュアルの仕上がりなどに不安があるね、といった会話が審査中に上がっていたので、本戦では今回のような太いアイデアと、より一層研ぎ澄ませたビジュアルで勝負してきて欲しいと思います。カンヌ、頑張ってきてください!

    審査員 河野 吉博TBWA\HAKUHODO

    参加された皆さま、お疲れ様でした。
    今年の一次審査は、昨年に比べ票が分散し、最終審査に進む作品の選定が非常に難しい状況でした。特に「難民問題」というテーマは、日本では日常的に触れる機会が少なく、非常に挑戦的な課題だったと感じています。
    日本国内予選の目的は、ヤングカンヌ本戦で勝利を目指せるチームを選出することです。今年の本戦では、Visual Identity(VI) を軸にした明確なコンセプト、クラフトマンシップ、そして展開性が高く評価されていました。そのため予選でも、VIを核とした戦略的かつ展開性のあるアイデア、そしてデザインの完成度を重視して審査を行いました。

    以下は、審査時に重視したポイントになります:
    1.Creativity: ユニークでオリジナリティがあり、他と差別化されているか。
    2.Strategic Thinking: VIがシンプルかつ戦略的で、明確なコンセプトを持っているか。
    3.Relevance to the Brief: ブリーフに沿い、VIを軸に共感や連帯を生み出せるか。
    4.Craftsmanship: デザインの完成度が高く、VIが効果的に表現されているか。
    5.Impact and Effectiveness: 課題への共感や連帯を生み、社会に広がる可能性があるか。

    今年のゴールド受賞作は、難民に対するネガティブなイメージをポジティブに転換するユニークな切り口が印象的でした。他の多くのアイデアが真面目なアプローチに偏る中、戦略性が際立ち、ソーシャルメディアでの展開性にも可能性を感じました。また、プレゼンからは難民問題に対する深い理解が伝わり、本戦での活躍が大いに期待されます。
    最後に、今年も素晴らしいアイデアに出会えたことを心から嬉しく思います。参加者の皆さまのさらなるご活躍をお祈りしています!

    Integrated

    インテグレーテッド部門

    たくさんのご応募ありがとうございました。以下、インテグレーテッド部門の最終結果と審査講評になります。

    gold prize

    Entry No.I040

    博報堂クリエイティブ・ヴォックス河口 泰子

    博報堂汪 芸佳

    silver prize

    Entry No.I057

    ハッピーアワーズ博報堂内山 智義

    博報堂若田 勇輔

    bronze prize

    Entry No.I036

    電通厚木 麻耶

    電通齋藤 神威

    finalist

    Entry No.I017

    ADKマーケティング・ソリューションズ有泉 歩美

    ADKクリエイティブ・ワン吉田 彩乃

    finalist

    Entry No.I038

    博報堂池邊 航太

    博報堂岡本 渚

    finalist

    Entry No.I015

    テテマーチ大隅 絢加

    イニシャル種橋 由夏

    応募状況

    提出作品数:129作品

    総評・コメント

    審査員長 三寺 雅人FACT

    今年の審査はエントリー数が増え、コロナ前に近づいてきたという喜ばしいニュースからスタートしました。しかし一方で、AIテクノロジーの発達から英語のコピー開発、ビジュアル制作に至るまで多くのチームがその力を多用しており、全体的にアイデアに対するクオリティが落ちた印象を受けました。誰もが容易に言葉やビジュアルを手に入れることができる今こそ、根幹の課題やアイデアに対して深く向き合い、他とは一線を画すビッグアイデアを生み出すことに情熱を注いで欲しいと感じました。また、メディアニュートラルの時代が故に、カテゴリー同士での差異がクリアにされていないとも感じました。特にPR部門やメディア部門とはプレゼン手法(企画書10枚)も同様だったりと、同じ企画書で複数カテゴリーにエントリーをしているチームも多く見受けられました。今後そうならないように(部門ごとにアイデアが正しく選出されるように)審査自体も質を高め、手法も変えていく必要性を感じました。今やインテグレーテッド部門はカンヌではなくなり、スパイクスにしか存在しません。この先カテゴリー自体がどうなっていくのか、個人的に行く末が気になりますが、数年前のカンヌではチタニウムと並んで、もっとも輝かしい部門の一つでした。その意味でも、今年インテグレーテッド部門で受賞されたチームはカンヌには行けずとも、アイデアの「強さ」「太さ」「拡張性」に誇りを持って欲しいと思います。最後に、今後もチャレンジする皆さんに向けて、インテグレーテッド部門のカテゴリーの特性を明確化しておきたいと思います。
    インテグレーテッド部門は、同じ内容を複数のメディアでカットアンドペーストするのではなく、中心にあるアイデアをメディアごとに最適な方法で表現し、相互で高め合うことで統合的な強いキャンペーンになることが重要です。そして、一過性で終わらず中長期で展開できるサステナブルな仕組みづくりができているかも大切です。
    来年もまた、皆さんの更なる挑戦をお待ちしています。

    審査員 安慶田 隼Wieden+Kennedy Tokyo

    難しい課題に、コンペとしてどうアプローチするか?

    今回は、日本人にとってはどうしても実感が湧きづらく、どうアプローチしていいのか考えるのが難しい課題でした。コンペでは、世界の人が知恵を絞って行動していてもまだ解決には遠いような、本質的な解決がとても難しいテーマが出題されることもあります。審査員をやらせていただいた側としても本当に難しく、議論は白熱しました。

    では、そんな課題が出たときはどうすればいいのでしょうか?

    もちろん本質的な解決につながるアイデアが出せたらベストです。しかし課題が難しい場合にも、実力を戦略的に見せることはきっとできるはず。審査では、インサイトの発見&ストラテジーの立案力、エグゼキューション力、プレゼン力などを見ています。今回の傾向としては、アートディレクションがしっかりしているチーム=見せるべきものがわかっているチームが多く残りました。AD不在のチームでも、企画のコアを見極めて、それが最大限伝わりやすくすることは欠かせないと思います。

    ボロボロの服、移動距離、難民キャンプの様子…。難民の置かれた状況の困難さをハイライトする企画は本質的なのか?という点が、事前審査では個人的に気になっていました。REFUGYMは、あくまで入り口は難民の困難さでも、そこを起点により深い理解や募金を促す体験として設計していた点がよかったです。プレゼンの質疑応答も隙がなく、審査員が自然と引き込まれる説得力がありました。

    いくつかかぶっていたのが、靴にフォーカスした案です。しかしRefugees’ Odd Shoesは、Odd Shoesという事実の発見や、つい手にしたくなるプロダクトデザインにまで昇華させている点に実力を感じました。ボールドなアイデアゆえに実現性に関する質問も出ましたが、彼らなりに実現方法を考えていて素晴らしかったです。

    Share The Connectionは、使い切れないデータ量という毎月のモーメントに着目し、問題について考えるきっかけに変えました。プレゼンで見せてくれたスマホアプリでの体験を含めて、感情の動きの設計に無理がなく、行動へのハードルを下げた点がよかったと思います。

    コンペ疲れの方も、そうでない方も

    実際の仕事では、クライアントに質問できます。アカウントから温度感を探れます。ストラテジストと相談できます。今回考えるにあたって「ブリーフのこれって本当に伝えるべきこと?」「どう捉えたらいいの?」など疑問に感じたその嗅覚こそが、実際の仕事ではチャンスを生み出すし、鍛えた思考回路は必ず役に立つと思っています。コンペ疲れの方もいらっしゃるかもしれません。でも、こうして鍛えたクリエイティブ脳が、いつか実際の社会にインパクトを与えるはずです。僕も頑張ります。みなさん本当にお疲れさまでした!!!

    審査員 押部 由紀奈I&S BBDO

    今年の課題は、予選でも本戦でも、何度も出されてきたお題。
    これまでに応募された作品も、PR EDGE等の事例サイトも、審査員は見ています。
    かぶったら、おしまい。そのあたりは、きちんと勉強して避けていただけますと、もったいない落選を回避できるかと思います。
    そして今回、特徴的だったのは、予選段階では、ずば抜けた作品がなかったこと。
    プレゼンを通して、いかに企画のウイークポイントをうまく説明して補強したか、いかにモックのクラフトで企画の魅力を増幅させたか、部門に合わせてカスタマイズできたかで差がつきました。
    もしかしたら、英語力がネックで上手くいかなかったと思っているチームもあるかもしれませんが、英語が拙くても、考え尽くしてきたことを熱意を持って話したら、必ず伝わります。予選でも本戦でも、日本人にも外国人にも、絶対に伝わります。ちゃんと考えまくって挑めば大丈夫ですから、ぜひまたチャレンジしてみてください。
    皆さま、素晴らしい企画をご応募くださり、ありがとうございました!

    審査員 柿並 俊介FOUR FEET

    皆さま大変お疲れ様でした!今年の審査で大切にしたポイントをキーワードで共有します。

    Sustainability

    かつてのインテグレーション部門は「キャンペーンで活用したメディアの数 = メディアインテグレーション」を伴うビッグアイデアが評価されました。今の時代は異なります。メディアインテグレーションに加え、それ以上に「アイデアの持続性 = 時代のインテグレーション」を持っているのか、その点を最も重視しました。

    Scalability

    ふたつめは「アイデアの社会浸透力」です。これは二つのポイントの掛け算だと考えています。ひとつが「参加しやすさ(Accessibility)」であり、もうひとつが「生活での必要性(Necessity)」です。このAccessibilityとNecessityを兼ね備えたアイデアは「社会にスケールするな」と思わせてくれました。

    Leadership

    最後のポイントは「社会を牽引する力」です。言い換えれば、「そのアイデアは社会をどう変えてくれそうか?」という可能性です。最近の国際アワードではこの牽引力で欧米と差を感じています。文化の違いがあるとは言え、とても重要なポイントだと考えています。

    とにもかくにも、今年も審査をしながら自分自身もたくさん学ばせて頂きました。すべてのエントリーアイデアから様々な視点に触れることができ、そしてたくさんの熱量をいただきました。エントリー頂いた皆さん大変お疲れ様でした、ありがとうございました!

    審査員 橋田 和明HASHI

    難民という課題、難しかったのではないでしょうか?
    日本の中では身近ではない。それ自体、本当に課題ですよね。

    まず、Integrated部門として評価していたのは、
    ①ワクワクするような課題の捉え直し
    ②強いコアアイディアがそこにあるのか
    ③それが美しく展開されているのか
    ④みんなを巻き込んで、サステナブルに続きそうか
    というポイントです。

    今回はやはり教えるというアプローチの啓発だけでいくと、真面目になりすぎて届く情報にならない気がしました。難民を救うアクションと自分たちの日々のモチベーションがどこでクロスするのか?そこに新たなチャンスを見つけたアイディアが強かったです。そこがみんなを巻き込んで続いていくという④に到達できる印象を持ちました。

    ただ、みんな「うまく」なってきているのですが、どれも「突破力」が足りないとも思いました。部門ごとの対策をしてあったり、AIを使いながら企画書としてはよくなってきている。ただ、最後の「突破力」、コピーやビジュアルを詰め、一発でいいじゃん!と思えるところが足りない。いいコンセプトや設計はたくさんあれど、そこに到達しているチームはいくつかしかいなかったんだな、と。

    Integratedという特性上、統合の設計の方に力を入れているのはわかりつつ、コピービジュアルをもっと詰めていくことのが、実際のヤングコンペも、この先の仕事にもつながるのではないかと思います。

    最後に、応募したみなさま、ナイスチャレンジでした!
    受賞したみなさま、おめでとうございます!
    SPIKESに行くチームのみなさま、頑張ってください!

    Print

    プリント部門

    たくさんのご応募ありがとうございました。以下、プリント部門の最終結果と審査講評になります。

    gold prize

    Entry No.P030

    クオラス伊藤 綾野

    CHOCOLATE松下 加奈

    silver prize

    Entry No.P071

    ジェイアール東日本企画小林 亮太

    ローカルブライト関根 優美

    bronze prize

    Entry No.P020

    博報堂勝木 英行

    博報堂プロダクツ桜井 成美

    bronze prize

    Entry No.P090

    TOPPAN梶田 菫

    TOPPAN前田 耕平

    bronze prize

    Entry No.P161

    GO有田 絢音

    東急エージェンシー古林 萌実

    finalist

    Entry No.P012

    電通林 苑芳

    電通儘田 岳賢

    finalist

    Entry No.P017

    たきコーポレーション粂田 匠汰朗

    たきコーポレーション村山 凜

    finalist

    Entry No.P052

    博報堂内橋 亜見子

    博報堂辻本 卯咲

    finalist

    Entry No.P089

    博報堂殿村 豪太

    スパイス樋口 魁

    応募状況

    提出作品数:146作品

    総評・コメント

    審査員長 浅井 雅也Droga5 Tokyo, Part of Accenture Song

    プリント部門にご応募いただいた皆様、まずは大変お疲れ様でした!
    今年はエントリー数も昨年に比べて大幅に増え、ますます次世代タレントの勢いを感じることができました。審査員を代表してお礼を申し上げます。

    まず第一印象としてオンライン審査をしている際、烏滸がましくも個人的には作品のレベルが全体的に上がった!と思いました。プリント部門は極端に外に出せる情報が少なく、テーマによって表現のしやすさが変わりますが、インサイトや視点が昨年以上に深い洞察力で掘り起こされたように感じました。プリントは①スピード、②クリアさ、③納得性(余韻)が求められる競技なので、裏側のモヤモヤした思考や数多くの情報をいかに整理し、独自視点で1.5秒完結のコミュニケーションするのがポイントです。裏事情や内容を誰かに説明されて初めて理解完了では遅いですし、日本語の思考はどうしても行間を察してもらうカルチャーなので難しい。海外向けに英語で競う際はストレートに言い切ることが大事。言いたいこと自体に余白を与えて察してもらうのではなく、言い切った上で感情の余白を作ることが大切。今年の激戦を勝ち残ったファイナリスト以上の皆様、おめでとうございます!悔しい思いをした方々もプリントはアイデアとの巡り合い要素も強い部門なので、また来年チャレンジできる方は是非お願いします。

    今回の審査ポイントは昨年同様に視点、表現、クラフトの3点です。あえて戦略と表現しない理由はどのカットでこの問題に取り組むかという1つの”視点”という方が僕はしっくりくるからです。表現はシンプルかつクリアに具現化するか。クラフトはレイアウト、文字やロゴのバランスや配置、カンプの細部までの丁寧さ。(今年もロゴや枠線入れてない方多かったですよ!笑)

    「興味を持てない日本の人々(を中心)にどうやって興味喚起するか?」がお題でしたので、最後まで残った作品は全てよくある難民や人権関連のイメージとは違い、引き込んでおいて最後にグサっと刺しにくるような作品が残りました。みなさんの言いたいことを伝えるだけではなく、どうグサっと心にインパクトを与えるか?がポイント。自分の中にメッセージが残る、考えさせられる。ここが視点の部分です。「そうきたか」が大事。ここ重要で「へー!そうなんだ!」というリアクションは表層レイヤーで情報に対して認知しているレイヤー。その先の「自分だったら…」というインターナライズして心に残り何かが動く心理レイヤーに是非入り込んでください。

    現地でも頑張ってください!そしてまた来年も素晴らしい作品づくりにチャレンジしてください!

    審査員 市川 直人Wieden+Kennedy Tokyo

    今回、過去最高のエントリー数でした。
    参加してくれたみなさま、お疲れ様でした。
    審査員全員で議論を重ねた結果として、
    これからの本戦、そしてまた次のヤングカンヌに
    ぜひ活かしていただければと思うポイントをまとめます。

    ーーー

    “それは擦られたモチーフではないか?”

    棒グラフなどのチャート。WEB上のプログレスバー。
    白バックに何か1つのものが置かれた象徴的構図。
    フローチャート。スマホのSMSのような吹き出しの連続。
    GoogleでよくみるUI。BOT判定の画像認証。ブラウザの中に一言。
    FPSゲームのUI。検索ボックス。公共のピクトグラム。。。など。
    ワンコピー&ワンビジュアルのみで戦わなければいけない
    プリント部門において、過去の広告や近年の広告でよく擦られている
    モチーフを使うと、かなりの確率でビジュアルが被ります。
    そうなると、審査の場ではどうしても「◯◯系のアイデア」として、
    類似したアイデアと括られて、敵が増える。上位に残ることが難しくなる。
    だからこそ、プリント部門は過去の広告を勉強することや、
    アイデアを考えたあとに、それがモチーフ被りをしていないかの
    チェックが大切。(もちろんアイデア自体が被らないこともマストです。)
    ここ数年の応募作を見させていただいている中で
    これは常に感じたポイントです。1案しか提出できないヤングカンヌ
    だからこそ、1案に絞る際にリサーチや、他チームが出してこないかの
    想像力を働かせることが、非常に大切になります。

    “ そのビジュアルに「人感」はあるか? ”

    これは、今年の審査の中でもひとつの発見でした。
    課題によってこのポイントは当てはまらない時もあるかもしれませんが、
    今回のような課題の場合、コピーとビジュアルを通していかにそこに
    人感や体温・温度を感じさせることができるか?は、作品を強くする
    要素のひとつであったと、審査会の中で会話になりました。
    150近くの作品を並べたり、壁に貼ったりして見る際に、
    よりコミュニケーションスピード速く、目に飛び込んでくるのは

    もちろんビジュアルです。その時に、そこに人感を感じるか?
    人がいるストーリーを感じるか?人の問題であると訴えてくるか?
    もちろん、これは必ずしも物理的に人をいれるということではありません。
    ほぼ同率一位だったGOLDとSILVERの作品は、この点において、
    「人感」をそれぞれ違う方法で纏っていました。
    アプローチは違えど、このプリントを見る人が感情移入してしまう
    ような人感のあるアートディレクションがなされていたと思います。
    日本人にあまり馴染みのない問題だからこそ、右脳的に、感覚的に
    人の気持ちを掴むことができるかはひとつのポイントでした。

    “ その表現はどこまで引き算されたか? ”

    完成されたプリントは、暴力的なまでに削ぎ落とされています。
    無駄がない。疑問が生まれない。たった数秒でメッセージがクリアに伝わる。
    プリント部門はただひたすらに、引き算の美学であると思います。
    本当に必要なミニマムのコピーとビジュアル、そして抑えのコピーとロゴ。
    この最小限の要素で、見る人の想像力を無限に広げて、誤認なく、
    説明臭くなく、ストーリーをつたえることができているか?
    コンペなので、どうしても、「これで自分たちのアイデアが伝わるの
    だろうか?」と考え、メインコピーを説明するようなもうひとつのコピーを
    加えてしまうことが、今回も前回もよくありました。情報過多のものは、
    なかなか本戦でも勝つことができません。様々な方法で、多くの言葉で
    アイデアを語れる他部門と異なり、プリント部門では引き算しきる勇気が
    試されています。強いアイデアは最大限まで引き算をしきることで、
    削ぎ落としていくことで、その切れ味を増幅させることができると思います。

    ーーー
    本戦、楽しんできてください。
    審査員一同、応援しています。
    いってらっしゃい。

    審査員 三井 明子三井グループ

    ご参加いただいたみなさま、お疲れさまでした。昨年より大幅に増えたエントリー、とても見応えのある作品がたくさんありました。
    まず、全作品を事前審査で各審査員が5%強選出し、それをもとにオフラインでの最終審査会。選出されていない作品も含め、全作品を全員で再度審査しました。審査委員長の浅井さんによる、とてもていねいで誠実な審査会でした。
    プリント部門は、プレゼンはもちろん企画説明のテキストもありません。その1作品のみでの評価です。そのため、とてもシンプルすぎるビジュアルの作品は、アイデアが斬新で魅力的だと感じても、そのチームのビジュアル的な力量を想像するしかないため、どうしても上位には選びにくかったです。残念なチームがいくつもありました・・・。
    今後チャレンジされるかたは、提出される1作品で、そのチームの技術的な可能性も判断されているということを念頭においていただけたらと切に願います。
    たくさんの作品に、今年も刺激をいただきました!ぜひ今後もチャレンジいただけたら幸いです!

    審査員 谷島 康葉ジェイアール東日本企画

    1週間という短い期間で作品を仕上げた応募者の皆さま、大変にお疲れ様でした。
    難民を取り上げた今回の課題。そもそも難民をどう定義すべきか、難民が抱える様々な問題にどのくらい入り込むか、とても絶妙で、自分自身も認識の浅さを実感させられました。

    難しい課題だったかと思いますがどの応募作もそれぞれの良さがあり、本当に惜しい!と思う場面が多くありました。
    作品のクオリティがあるか、切り口や表現が被っていないか、、など基本的なポイントはもちろんあるのですが、それ以外で審査中に印象的だった視点をまとめました。ぜひ、来年以降の参考にしていただければと思います。

    ●作品を通してみられていること

    審査員は、作品自体の良し悪しだけではなく「これを提出したペアは本戦でどう戦うか?」を見ていました。合成やコピーの精度はどうか、1 枚のプリント広告として成り立っているか、人とは違う何かをやろうとしている情熱があるか…作品の細部から、そういった部分までみられています。そんな認識を持つことで「最後の詰め作業」に良い変化があるのではと感じました。

    ●プリントである意味

    今年は、別部門の発想をプリントに転用しているような作品があったことも印象的でした。「これはプリント以外でやった方が機能するよね?」というアイデアはどうしても説明的になってしまい、それが弱さにつながります。プリント表現にしかできない、直感的で
    本能に訴えるメッセージとビジュアルであることがとても重要だと感じました。

    独自の視点を発見し、それを多くの人が共感できるところまで掘り下げ、丁寧に定着させたペアがゴールドを勝ち取ったと感じました。本当におめでとうございます。本戦も楽しんでください!